<高校野球春季宮城大会:古川学園5-3東北学院榴ケ岡>◇22日◇2回戦◇石巻市民球場

古川学園(北部地区3位)が5-3で東北学院榴ケ岡(同地区1位)を下しての8強入りで、夏のシード権を獲得した。佐々木繕貴(よしき)投手(3年)が9回145球、8安打3失点(自責1)の完投勝利。冬場のウエートトレーニングと食トレの効果で、昨秋から球速11キロアップの最速146キロに。スケールアップした右腕を原動力に東北大会出場、そして初の甲子園を狙う夏に向けて勢いをつける。

力投する古川学園・佐々木(撮影・野上伸悟)
力投する古川学園・佐々木(撮影・野上伸悟)

昼食は全員でご飯1キロ

ひと冬を越えたくましくなったエースが、確かな成長を披露した。古川学園・佐々木は初回に先制されながら、2回から7回までは140キロ台の直球を主体に6回を3安打。8、9回に1点ずつを失うなど詰めの甘さは残ったが、粘りの145球で勝利を引き寄せた。

昨夏は準々決勝で敗退。秋は地区大会で2連敗し、県大会進出すら逃した。現状を打破し、徹底的に体を鍛えようと外部からトレーナーを招きウエート、体幹トレを積んできた。半年間、授業前の朝7時から8時15分まで、土日には練習前の3時間を割いた。昼食時には部員全員が集まりご飯1キロを食べる食トレも。178センチできゃしゃだった佐々木は体重が7キロ増え71キロに、当初は40キロだったベンチプレスも75キロまで上げられるようになった。

効果はてきめんだった。4月の学法石川(福島)との練習試合で先発し6-3で勝利。米倉亮監督の仙台育英時代の恩師でもある名将・佐々木順一朗監督(59)からもお墨付きをもらった。今月8日の練習試合で146キロを計測。昨年の135キロからの大幅アップに、米倉監督も「間違いかも」と疑ったが、15日にも145キロをマークしマグレではないことを証明した。平地好誠主将(3年)は「体力がついたことで後半粘りが出てきた」と進化を認める。すでにプロのスカウトも視察に訪れており、米倉監督も「もうひと皮むければ150キロも出ると思う」と素材にほれこむ。

初回に2四球と安打で先制を許すなど立ち上がりが課題だ。巨人菅野の制球とリズムを参考に克服を図る。3月の関西遠征中にはセンバツ2回戦、札幌大谷-明豊を観戦、憧れの舞台への思いを再確認した。「甲子園に出て投げてみたい」。夢を視界にとらえ始め、さらなる成長をとげる。【野上伸悟】

(2019年5月23日、ニッカンスポーツ・コム掲載)