第101回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)福島大会が、10日に開幕する。福島大会では、ウルトラマンの故郷「M78星雲光の国」と姉妹都市提携を結ぶ須賀川のウルトラマンA(エース)右腕・円谷堅斗(3年)に注目だ。
ウルトラマンの生みの親で特撮の神様、故円谷英二氏と血縁関係はないが同姓。最速139キロながらキレ味鋭い“ストレート光線”で、強豪の“怪獣”たちを倒す使命を担う。
君にも見えるウルトラの星~♪ 須賀川の町には午後5時半に、「帰ってきたウルトラマン」の主題歌が大音量で流れる。午前7時はウルトラセブン。テーマに合わせて投球練習を行う円谷は「強豪私立はうまい人ばかりだけど負けたくない。上位に進出して、子どもたちが『須賀川高校で野球がしたい』と思ってくれるような結果を出したい」。ウルトラマンが地球で戦える3分間ではなく、3年間の戦いの集大成としてヒーローになることを誓った。
昨夏は4回戦で準V福島商に1点差負け。今春は右肩の違和感でほとんど登板できず、同校に再び敗れた。今夏、順当にいけば最初のシード校との対戦は、昨秋の練習試合で2ケタ失点を喫した第1シード東日本国際大昌平。「ボコボコにされたので、やりかえしたい」。リベンジに向け、今冬は食事量を増やして体重を約10キロ増やし、走り込んで下半身も強化してきた。
球速以上に回転数に着目してきた直球。「プロの1軍と同じレベルの2300回転を安定して出すことを目指しています」。冬は1900台だったが、現在は2300を超える時もある。土浦日大(茨城)や酒田南(山形)など、県外の強豪と練習試合を繰り返し、経験も積んだ。6月下旬には東北大会4強の鶴岡東(山形)に大量失点。「制球力の大事さを、あらためて気付かせてもらいました」。安定したフォームの再構築が夏までの課題だ。光南、白河など指導歴20年を超える箭内寿之監督(49)も「私が今まで見てきた中で一番力のある子。球質が良い」と信頼を寄せる。
ウルトラマンエースの必殺技「メタリウム光線」のごとく、“ストレート光線”に磨きをかけてきた。戦え、戦え、ウルトラマンエース♪僕らのエース♪ 13連覇を狙う聖光学院などの“怪獣”を倒す。【鎌田直秀】
◆円谷堅斗(つむらや・けんと) 2001年(平13)10月9日生まれ、福島・浅川町出身。浅川小3年時に棚倉キッズで野球を始め、浅川中では郡山中央ボーイズでプレー。178センチ、76キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄2人。
◆円谷英二(つぶらや・えいじ) 本名は円谷(つむらや)英一。1901年(明34)7月7日生まれ、福島・岩瀬郡須賀川町(現須賀川市)出身。1970年(昭45)1月25日、63歳で死去。特撮映画などの映画監督であり、円谷特技プロダクション(現円谷プロダクション)初代社長。長男は第2代社長の一氏、次男は第3代社長の皐氏。円谷氏の出身地であることから、2013年(平25)5月5日に「すかがわ氏M78光の町」としてウルトラマンの「M78青雲 光の国」と姉妹都市提携。ウルトラマンにちなんだグッズなどに加え、市内の松明通り(通称ウルトラマン通り)にはウルトラマン、ウルトラマンタロウなどのウルトラファミリーや、ゼットンやエレキングなどの怪獣たちのモニュメントが立ち並んでいる。64年東京五輪の男子マラソン銅メダリスト円谷光吉氏も本名の読みは「つむらや」で須賀川市出身だ。
(2019年7月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)