<高校野球茨城大会:下館一8-4鉾田一>◇7日◇1回戦◇ノーブルホームスタジアム水戸

“メロンパンチ”とともに、勝利を目指した鉾田一(茨城)の夏が終わった。

鉾田一対下館一 チームに指示を出す鉾田一・川井(撮影・倉田祥太)
鉾田一対下館一 チームに指示を出す鉾田一・川井(撮影・倉田祥太)

夏の甲子園出場2度。OBは元巨人・東野峻。日本一のメロン産地鉾田市の古豪が苦しんだ1年だった。

秋・春共に地区予選初戦で敗退。斉藤雅司監督(52)も「着任10年で初めて。伝統をさかのぼっても記憶にない」と口にする。

夏に懸けた同校に救世主が現れた。川井健太郎捕手(3年)だった。実家がメロン農家。「朝から晩までメロンずくめ」と話すように、昼食はティッシュボックスほどの弁当箱の半分がメロン。自宅でのカレーにもメロンが入る。

打撃に課題を抱えていた川井は、監督の「センターから逆方向にライナー性の打球を」という助言で開眼した。今大会Aシードの鹿島学園との公式戦では、4打数2安打の大当たり。いつしか“メロンパンチ”という愛称がついた。

5打数1安打。その1本も詰まった当たりで不発に終わった“メロンパンチ”だが「後輩には、強い鉾一を取り戻してほしい」と話す。「野菜も果物も苦労(負荷をかける)すればするほど味が出る」。野球部の誇りと伝統のたすきは、後輩へ託された。【倉田祥太】

(2019年7月8日、ニッカンスポーツ・コム掲載)