【光州=益田一弘】プールサイドで食べちゃおう。競泳の開幕を翌日に控えた20日、日本代表は本番プールで調整した。時差なしの韓国での“五輪前哨戦”。金メダル獲得で東京五輪代表が内定する。午前決勝の東京五輪を見据え、今大会でレース直後に弁当を食べる新しい試みにトライする。午前から動ける体を作るためにどうすべきか? 「味の素」の協力を受けて、深夜に試合会場で弁当を口にして、疲労回復を狙う。

「ワンパ」を行う競泳日本チーム(撮影・鈴木みどり)
「ワンパ」を行う競泳日本チーム(撮影・鈴木みどり)

手拍子と雄たけびが響いた。午前10時、本番プール近く。日本代表が国際大会前、恒例の円陣での儀式「ワンパ」を組んだ。男子主将瀬戸の声出しに仲間が応じる。いよいよ東京五輪の“前哨戦”が始まる。

今大会は予選が午前10時開始、決勝は午後8時~同10時半前後に及ぶ。初出場の大本は「普段、練習でも泳がないような時間帯」という。深夜→翌朝に疲労を持ち越さないことが鍵。この状況は午前決勝の東京五輪に通じる。メダルのかかるファイナルに勝つため、予選がある前夜の疲れを残さないことが重要だ。

疲労回復には運動直後の栄養補給

東京五輪と似た状況を、予行演習として生かす。03年から日本オリンピック委員会とタッグを組む味の素は、会場がある南部大学内に拠点を確保。1日約30食の弁当をレース後のプールサイドに届ける。同社によると、疲労回復には運動直後の栄養補給が重要。これまではおにぎり、ゼリー飲料などでつないで宿舎に戻って食事をとった。今回はレース→クールダウン→弁当→バス移動→宿舎到着→体のケアという流れをとる。

もし、体のケア後に宿舎で食事をすると深夜0時を回る。試合会場なら食事を1時間前倒しできる。この60分間がコンディショニングに影響する。「プールサイドで弁当」は重要な1時間へのこだわりだ。今大会のデータは、1年後の東京で選手たちに還元される。

(2019年7月21日、ニッカンスポーツ・コム掲載)