<高校野球滋賀大会:近江1-0光泉>◇26日◇決勝◇皇子山球場

100回大会を沸かせたバッテリーが帰ってくる。近江が、滋賀大会決勝で光泉との1-0の接戦を制し、2年連続14度目の夏の甲子園出場を決めた。昨夏8強メンバーの林優樹(3年)-有馬諒(3年)のバッテリーが5安打完封。昨夏準々決勝では金足農(秋田)の逆転サヨナラ2ランスクイズに涙をのんだが、この日は光泉が先制を狙ったスクイズを落ち着いて阻止。パワーアップした姿で、聖地に凱旋(がいせん)する。

滋賀大会決勝戦・光泉対近江 優勝を決めた近江エース林優樹(左から2人目)は捕手有馬諒(左)に飛びついて喜ぶ(撮影・上山淳一)
滋賀大会決勝戦・光泉対近江 優勝を決めた近江エース林優樹(左から2人目)は捕手有馬諒(左)に飛びついて喜ぶ(撮影・上山淳一)

“エース吉田”に勝って、近江が甲子園切符をつかんだ。金足農・吉田輝星(当時3年=日本ハム)に惜敗した100回の夏から1年。101回の滋賀の夏は光泉の好投手・吉田力聖(りき=3年)を倒した。林は「相手がすごくいいピッチングをしていた。負けられなかった」と振り返った。

滋賀大会決勝戦・光泉対近江 近江先発の林優樹(撮影・上山淳一)
滋賀大会決勝戦・光泉対近江 近江先発の林優樹(撮影・上山淳一)

カナノウ戦が血となり、肉となっていた。両チーム無得点の4回。1死二、三塁で相手5番がスクイズを仕掛けてきた。中腰になった捕手有馬を見て、林は「外角低めにストレートを投げようとしていたんですが、有馬が動いたから外しにいきました」。スタートを切っていた三塁走者をアウトにした。昨夏は2-1の9回無死満塁から直球を捉えられ、逆転サヨナラ2ランスクイズに。同じ直球で相手の先制を防いだ。

光泉対近江 優勝を決めた近江のバッテリー林(左)と有馬は記念写真に笑顔を見せる(撮影・上山淳一)
光泉対近江 優勝を決めた近江のバッテリー林(左)と有馬は記念写真に笑顔を見せる(撮影・上山淳一)

8回2死二塁で決勝打を放ったのは、吉田輝から3安打した住谷涌也外野手(3年)。この日の3安打目は、遊撃手強襲の適時打になった。「吉田さんといういい投手と対戦して、ボールの見方や体の軸で振る大切さを知った。ウエートトレや食事で力をつけてきました」。経験が生きていた。

多賀章仁監督(59)は声の震えを抑えられない。「もう1度、甲子園に連れて行きたいチームでした。最後にこんないい試合をやってくれた。自信を持って送り出せます」。優勝した今春近畿大会後、エースが調子を落とした。「微妙なコントロールがおかしくなっていた。プレッシャーがあったんだと思います」。林の不調の原因を、有馬は分かっていた。

県内敵なしと見られる重圧と闘い、自身通算26イニングを無失点で乗りきったエースは決勝後、表彰式が始まる直前に突然号泣した。「昨日の夜も眠れなかったんです」と勝って泣いて、最後に笑った。史上初の無失策の滋賀王者。各地方大会で番狂わせが相次ぐ中、堂々の優勝候補で甲子園に登場する。【堀まどか】

◆近江 1938年(昭13)に創立された私立校。生徒数767人(女子310人)。野球部は57年創部。部員数107人。甲子園出場は春5度、夏は14度目。主なOBは阪神植田海、DeNA京山将弥ら。所在地は滋賀県彦根市松原町大黒前3511の1。岩谷斉校長。

(2019年7月26日、ニッカンスポーツ・コム掲載)