<U18W杯:日本5-1カナダ>◇5日◇スーパーラウンド第1戦◇機張・現代ドリームボールパーク(韓国)

U18ワールドカップ(W杯)のスーパーラウンドが開幕し、星稜・奥川恭伸投手(3年)が復活を告げた。甲子園準優勝後の疲労で投球を控えてきたが、カナダ戦で先発し、大会初登板。7回2安打1失点、打者23人から18奪三振の圧倒的な投球を世界に披露し、勝利に導いた。

日本対カナダ カナダに勝利しタッチを交わす奥川(左)と佐々木(撮影・横山健太)
日本対カナダ カナダに勝利しタッチを交わす奥川(左)と佐々木(撮影・横山健太)

奥川の韓国ライフは多難だ。「食事が合わないんです」と頭をかく。韓国入り後、体重が2キロ減った。

3週間滞在した甲子園は決勝が8月22日。翌日に地元石川に戻って1泊だけして、またすぐ東京入り。大好きな地元の鮮魚や白米をほおばる間もなく、今度は海外遠征だからたまらない。スタッフにもらったふりかけやカップラーメンで急場をしのいでいる。

日本対カナダ 9回表、ベンチから声援を送る奥川(撮影・横山健太)
日本対カナダ 9回表、ベンチから声援を送る奥川(撮影・横山健太)

初日からトラブルがあった。チェックイン後、部屋のカギがなぜか開かず、同部屋の西と右往左往。最後は工具で開けてもらった。試合日は球場以外に体を動かす場所はホテル内のフィットネスクラブ。散歩もチームで2回行っただけ。

ただ、ストレスがかかる状況でも、優しさは相変わらず。1次ラウンドでフル回転した西にはシャワーを先に譲るなど、気を使う。異国の厳しい状況下でも、じっと疲労回復の努力を続けてきた。今ある状況でベストパフォーマンスを出せる精神力は奥川の強みといえそうだ。【柏原誠】

(2019年9月6日、ニッカンスポーツ・コム掲載)