<トレーニング:宮崎裕樹氏に聞く(3)>
「子供に運動させたい」けど、「どうすればいいの?」。そんな疑問を解決するために、元オリンピック委員会強化フィジカルコーチで多くのアスリートのトレーナーを務める宮崎裕樹氏(49)のもとを訪れた。4回連載の第3回は「前庭覚を鍛える」にスポットを当てる。
姿勢を保持するトレーニング
宮崎氏は「今回も子供たちでも、簡単にできるトレーニングです。特別な器具は必要ありません」と説明すると、トレーニングルームに入った。第2回で紹介した「固有感覚を鍛える」運動もわかりやすく、シンプルだったが、「前庭(ぜんてい)覚を鍛える」運動も同様である。
(1)あおむけの状態で両膝を立て、両手を広げる。体をゆっくりと起こしながら(腹筋運動)、両腕を交差させる。(写真<1><2>)
宮崎氏 息を吐きながら、上半身を引き上げます。肘は曲げずに、両腕を交差させる時に手首をしっかりとひねります。
姿勢保持が重要な要素の1つで、さらに手の動きを目で追いながら、腹筋運動することで「前庭覚」が刺激される。
(2)両腕を曲げ、地面につけた状態で体を支える。右手、左手の順に腕を立て、体をしっかりと支える。(写真<3>~<5>)
宮崎氏 頭の位置を意識し、体をしっかりとひねりながら、行います。 頭の位置を保持しようとするには、平衡感覚が必要となる。すなわち「前庭覚」を刺激する。
(1)、(2)の運動ともに10回を目安にスタートし、慣れてくれば回数を増やすことをお勧めする。特別なトレーニング器具は必要なく、場所を問わず、手軽に取り組める。
次のページ“あの遊び”で前庭覚を鍛える