<陸上:世界選手権>◇第2日◇28日(日本時間29日)◇ドーハ・コーニッシュ◇男子50キロ競歩

男子50キロ競歩の鈴木雄介(31=富士通)が金メダルを獲得した。高温多湿の過酷な環境の中、スタートから先頭を歩き続け、タイムは4時間4分20秒。20年東京オリンピック(五輪)の代表に内定した。

男子50キロ競歩で優勝し日の丸を手に笑顔を見せる鈴木(撮影・河野匠)
男子50キロ競歩で優勝し日の丸を手に笑顔を見せる鈴木(撮影・河野匠)

日本陸連の科学委員会の緻密な暑さ対策も金メダルを支えた。今夏には北海道・千歳で暑さのシミュレーション合宿を敢行。同市の市民プールの1室を借り、ファンヒーター、ぬれたタオルを使用し、高温多湿な35度の環境を再現。過酷な環境での耐性を培った。

男子50キロ競歩で今村コーチ(左)から水と袋を手渡される鈴木
男子50キロ競歩で今村コーチ(左)から水と袋を手渡される鈴木

近年、合宿では練習前後で各自の体重、脱水量をチェックする。それを適切な給水量を知ることに役立てる。また汗の成分のデータも採取し、ドリンクの内容物の改良に生かす。練習中にサーモグラフィー撮影をし、深部体温も確認。「体を冷やす水をかける技術」まで細部に気を配る。

男子50キロ競歩で今村コーチから渡された水と袋を手にする鈴木(撮影・河野匠)
男子50キロ競歩で今村コーチから渡された水と袋を手にする鈴木(撮影・河野匠)

東京五輪で競歩は暑さ対策が勝負を分ける。パフォーマンスを低下させないよう深部体温の上昇を抑えるのが勝利への道。「手に氷」「帽子に氷を入れる」など個々に合う解決策を探す。この日、鈴木も給水所ごとに手、首、頭用の3種類の冷却グッズを入れた特製の巾着袋を用意していた。ドーハの経験も、東京を勝つ貴重な材料にしていく。

(2019年9月29日、ニッカンスポーツ・コム掲載)