女子ラグビーの強化と普及を目的とする第2回全国U18女子セブンズラグビー大会(埼玉・熊谷、10月26~27日)で3位となった福岡レディースは、食の努力も欠かさない。選手たちはそれぞれ食のこだわりをもっている。
FWの三原倫(筑紫3年)は「試合時間が違うので、大会に合わせて体重調整をします。7人制の大会前は太らないように、ご飯の代わりにギリシャヨーグルトを食べるなどして調整しています」。同じくFWの吉村乙華(東筑3年)は「1試合終わると1キロ以上体重が減ってしまいます。体重維持のために、朝の課外後(朝食)、2限の後、昼食、練習後、夕食と1日計5回、食事をとっています。糖質に偏らないように1食40グラムのタンパク質も摂るように心がけています」と話した。
専属トレーナーが栄養面も指導
「選手たちの意識が大きく変わりましたね。6年前に来たときは、スポーツドリンクすら飲んでなかったチームだったのに…」と頼もしそうに見つめるのは、チーム専属トレーナーで理学療法士の渡邊陽子さんだ。「試合の合間にお弁当を食べて『おなかが重い』『走れない』なんて言っていた時期もありましたが、今ではみんなゼリー飲料などの軽い補食で調整できるようになりました」。
1日2試合以上行うことが多い7人制ラグビー。この日は1試合目と2試合目の間が1時間半以上空いたが、1試合目が終わった後にソックスを脱いで約30分間ストレッチをし、疲労回復効果のある果汁100%のオレンジジュースや、BCAAのサプリメントを飲んで次戦に備えた。
選手たちが最も笑顔になった瞬間は、補食の「カステラ」を食べたとき。適度な糖質補給でエネルギー補給とともに気分もリラックス。「おいしいです!」「顔が自然と笑顔になっちゃいます」「カステラの差し入れまってまーす!」など笑いも出て、気持ちの切り替えもしっかりできた様子だった。
お菓子よりもサラダチキン
普段から体作りを考えて、お菓子などの嗜好品を我慢してきた選手たち。SH林かんな(福岡3年)が「大会が終わるまでタピオカ断ちしました」と言えば、主将の吉野舞祐(新宮3年)は「休み時間に友達がお菓子をくれるんですけど『う、うん…大丈夫』って言って遠慮してます(笑)」。
誘惑の多い女子高生ライフにおいて、その苦労は涙ぐましい。「サラダチキンや、納豆巻きとか。普段、うちらが食べてるもの、女子高生っぽくないよね」と笑い飛ばすが、「ラグビーが大好き」「仲間が大好き」という真っ直ぐな気持ちが、食意識向上にもつながっている。3年生にとって福岡レディースでの大会はこれが最後となったが、これらの取り組みは、この先の未来へと続いていく。【樫本ゆき】
◆福岡レディース 2006年創部のクラブチーム。ラグビースクール中学生女子の受け皿としてスタートし、現在は九州圏内の中学、高校、大学生の計75名が登録する人気クラブチームへと発展した。年間通じて、7人制と15人制の両方の大会に参加。国内外の強豪校が集う5月のサニックスワールドユース大会で初優勝した。練習は毎週日曜日。平日は各学校のラグビー部で男子と共に練習している。平野勉監督(54)は「チーム全体での練習時間は短いですが、小学生のときから同じチームでラグビーをやってきた選手も多く、全員仲がいい」と結束力が強さの秘密と話していた。