バスケットボールの米国代表を統括するUSAバスケットボール(USAB)では、高いレベルの技術とパワー、スピード、機敏さ、持久力を必要とするバスケットボール選手と指導者のための栄養と水分補給のガイドラインを設けています。最高のパフォーマンスを発揮するために必要とされる栄養と水分補給の指標を紹介します。
栄養のガイドライン~エネルギー源となる炭水化物
(1)炭水化物はトレーニングや試合中のエネルギー源として欠かせない栄養素で、チームスポーツの選手が1日に必要とされる推奨量は、体重0.45gに対して2.27~3.18g。ガイドラインでは選手は各食事の3分の2が炭水化物になることが理想だとしている。
(2)炭水化物は主にベーグル、パスタ、米、グラノーラ、果物、シリアル、パンケーキ、パンなどから摂取しよう。
(3)練習や試合開始の1~4時間前に、体重68キロの選手なら68~272gの炭水化物を摂取するのが理想だが、試合の1時間前以降は摂取量を少なくするように勧めている。
・試合や練習の3~4時間前の食事例:アップルジュース355ml、バナナ1本、プレーンのベーグル1個、グラノーラ半カップとフルーツ入りヨーグルト177ml=炭水化物209g、タンパク質25g
・試合や練習の2時間前のスナック(補食)例:フルーツジャムのトースト2枚、アップルクランベリージュース1カップ=炭水化物78g、タンパク質4g
(4)1時間の練習や試合でおよそ30~60gの炭水化物を消費するため、ハーフタイムなどの休憩時間にはスポーツドリンクと共に炭水化物を補食として摂取すること。
(5)炭水化物は試合前のエネルギー源であり、試合後は体を回復させるための栄養に切り換える必要がある。炭水化物の摂取量は少なくすることが理想だが、翌日またすぐに練習や試合がある場合は、4時間ごとに体重0.45gに対して0.45~0.54gの炭水化物を摂取すると良い。
栄養のガイドライン~回復に必要なタンパク質
(1)ダメージを受けた筋肉を回復させるために、練習や試合後は速やかにタンパク質を摂取することが理想。1日の中では3~4時間ごとに食事やスナックとしてタンパク質を摂取すると良い。
(2)体重によって必要な量は異なるが、一般的に1食20gを目安とし、肉、卵、大豆、ギリシャヨーグルトなど良質なタンパク質の摂取が理想。タンパク質を多く摂っても筋肉の回復にはつながらずメリットはないとしている。
・朝食の例:オートミール半カップ、Lサイズの卵1個、237mlのスキムミルク=タンパク質20g
・補食の例:グラノーラバー1個、アーモンド28g、ギリシャヨーグルト半カップ=タンパク質20g
(3)就寝前にタンパク質を摂ることは体の回復に役立つため、牛乳やヨーグルト、カッテージチーズなどを摂取すると良い。
水分補給のガイドライン
(1)運動中に体重が2%減少するとパフォーマンスが低下する可能性があり、汗として失われた水分を適切に補給することが重要。
(2)練習の4時間前には体重0.45gに対して2.24~3.16mlの水分をゆっくりと消費するように摂取するのが理想で、尿の色が濃い場合は2時間前までにさらに体重0.45gに対して1.36~2.24mlを追加で摂取することを勧めている。体重50kgの選手なら248~348mlの水分補給を目標にする。
(3)適切な水分補給が行われているかどうかは、尿が透明ではなくレモネードのような色をしていることで判断し、尿が濃い黄色や茶色い場合は脱水状態である可能性がある。
(4)試合や練習中はタイムアウトやブレーク時などに、こまめにナトリウムを含む水分補給飲料で、水分と共に汗で失われたナトリウムも補充する。
(5)試合や練習後は汗で水分と共に塩分も失われているため、水分と共に塩気を含んだスナック少量も合わせて取ることも重要。
(6)試合や練習後は体重が0.45g減少するごとに、591~709mlの水分補給をすること。
(7)1日を通じて水分補給は必要だが、ソーダやエナジードリンクのようなカフェインや砂糖を多く含んだ飲み物は極力避けること。
【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】