全国高校ラグビー大会(27日開幕、大阪・花園ラグビー場)の新潟県代表・新潟工(16大会連続44回目出場)は1回戦(28日)で城東(徳島)と対戦する。

スクラムの要はプロップ仲村太智(2年)だ。同校OBでW杯日本大会でも活躍した日本代表プロップ稲垣啓太(29=パナソニック)と同ポジションで、同じ背番号「1」。憧れの大先輩のプレーを目標に、チームが目指すベスト8へけん引する。

花園8強を目指す新潟工のメンバー
花園8強を目指す新潟工のメンバー

背番号「1」の重さは励みに変わった。「みんなで頑張ろうと、気持ちが高まってきた」。1回戦の城東戦に向け、仲村は楽しみが大きくなってきた。左プロップは日本代表の稲垣のポジション。同じ背番号「1」をつけて、スクラムの最前列左に陣取る。「ボールを動かしてくる」と城東の持ち味を頭に入れながら、「スクラムでは絶対に押し負けない」。伝統のFWの力を示す自信を見せた。

「稲垣さんは大きいけど、運動量が多い。スクラムも低い」。仲村のサイズは162センチ、96キロ。186センチ、118キロの稲垣の体格には及ばないが、動画でプレーをチェックしながらオフザボールの動きを参考にした。「重心の低さが自分の特徴」。小柄を逆手に取り、スクラムで低く入り、密集でも足元を突く。

亀田中ではラグビーと平行して柔道部に所属。3年のときに個人戦81キロ級で県大会出場の実績がある。足腰の強さが売りの1つだ。樋口猛監督(47)も「いいプレーをする。体は小さいが何の不安もない」と絶賛する。

スクラム練習に取り組む仲村(右)
スクラム練習に取り組む仲村(右)

入学当初の85キロから体重が11キロ増えた。「1日5合以上ご飯を食べるようにしてきた」。朝食は茶わん2杯、昼食の弁当のご飯は2合。授業の合間にはパンを食べる。夕食で3合、そして夜食もご飯。稲垣の高校時代は1日7食の伝説がある。それには及ばないが、体重増加の努力をしてきた。稲垣の高校時代の体脂肪は10%。母校で行われた11月の講演で衝撃を受けた。「僕は30%。20%前半にはしたい」。筋トレなどで今は筋肉増量を目指す。

昨年の花園はベンチ入りしたが、出番はなかった。不動のプロップとして臨む今年は「1回戦から集中して臨む。年越しして、ベスト8に入る」とぶれない目標がある。まだ直接会話をしたことがないという稲垣に「いい報告がしたい」と決意した。【斎藤慎一郎】

◆仲村太智(なかむら・たいち)2002年(平14)5月2日生まれ、新潟市出身。亀田小2年のときに新津ラグビースクールでラグビーを始める。亀田中では柔道部で段位は初段。昨年は背番号18でベンチ入り。162センチ、96キロ。

○…2年生のNO8稲村心が花園に向けた練習を仕切っている。主将のCTB奥田勇志(3年)が10月に右足首を骨折し全治3カ月。その代役を務めながら、リーダーとして成長してきた。「気付いたことは言うようにしている」。練習ではプレーが徹底されていないときは先輩、後輩の関係なくハッパを掛ける。「最初は遠慮していたけど、だいぶ慣れてきた」。樋口監督も「素晴らしいリーダーになってきた」と信頼を置いている。

(2019年12月18日、ニッカンスポーツ・コム掲載)