全国高校ラグビー大会で7年連続4強入りした東福岡(福岡)は4日、5日の準決勝に向けて神戸市内で約2時間の練習を行った。対戦相手の桐蔭学園(神奈川)は昨春の全国選抜大会で優勝し、準々決勝で大敗した今大会優勝候補筆頭。大一番を翌日に控えた練習のスタートは、意外にも「鬼ごっこ」だった。
「縦にも横にも自由に走ってね。捕まったら手をつないで、また追いかけていく。こういうときは明るさが大事ですからね。明るさ、元気、勢い。今日の練習はそういうテーマでやっていこうと選手たちに言いました。今年は3年生たちの結束が強く、思いが強い代。その思いが明日は見えない力となるはず」と藤田雄一郎監督(47)はその意図を話した。
「遊び」を交えたウオーミングアップに始まった練習は、ボール回しやタックルリアクションなどのベーシックドリルを繰り返した。「特別なことを準備する必要はない。いつも通りでいい」。藤田監督の言葉に、選手たちの表情からプレッシャーの色が消え、最後は満面の笑顔になった。
選手たちはホテル生活でも最善を尽くしている。練習後はホテルで十分な休養をとり、消灯時間も午後10時。特別に設置した2台の酸素カプセルで疲労労回復に努めている。
さらに今年からはチーム担当の管理栄養士が今大会に合わせて「必勝メニュー」を考案し、ホテル側にリクエスト。揚げ物を控え、野菜やビタミン多めのアスリート食に改善された。とはいえ、OBや関係者から届くケーキ、スイーツの差し入れは制限せず、夕食時にデザートとして選手にふるまわれているという。
桐蔭学園の伊藤大祐主将(3年)は福岡・久留米市出身で筑紫丘ラグビークラブ時代に県の中学選抜で活躍した選手だ。この時のチームメイト20人中14人、SH西村笙、SO森駿太、LO森山雄太、FL永嶋仁、CTB廣瀬雄也と有吉健、PR玉木皓盛らの3年生が東福岡に入学したが、伊藤は県外の道を選んだ。かつて同じユニホームを着て全国を戦った盟友との再会に、主将の廣瀬は「ベストを尽くし、どんな結果になっても健闘を称え合いたい」と燃えている。【樫本ゆき】