阪神原口文仁捕手(27)が18日、和歌山県すさみ町で、実行委員長を務める「チャリティーランフェスティバルinすさみ」に参加し、昨季から「玄米」を愛食していると明かした。大腸がん手術後の昨年3月に療養したすさみ町は、原口にとってエネルギー補給の場所。ファンとの触れ合いで力をもらい、玄米パワーとともに2年ぶりの春季キャンプに向かう。

「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でファンと触れ合いながら走る阪神原口(中央)(撮影・清水貴仁)
「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でファンと触れ合いながら走る阪神原口(中央)(撮影・清水貴仁)

雲1つない晴天の下、原口は笑顔で走った。ともに元阪神の狩野恵輔氏(37)が浜中治氏(41)につないだたすきを受け取り、大勢のファンと1人1人、丁寧にハイタッチもした。「本当に僕は幸せものです」。大腸がんの手術後にすさみ町で静養したことがきっかけで、がん患者を支援したい思いから実現したリレーマラソン大会。元気でいることの幸せをかみしめた。

がん宣告から約1年。つらく険しい闘病生活で大事にしたのは食生活だった。「病気をしてからより一層気を使うようになりまして」。食べるようになったものが、白米よりも栄養価の高い玄米だ。精米機製造や米販売の東洋ライス(本社・東京、和歌山)の「金芽ロウカット玄米」という消化しやすい商品を知り、「白米を食べているような感覚。味もおいしい」と口に合った。「遠征に出たら外食だったりホテルのご飯というところで、バランスが崩れる。家に帰ったらしっかり整えるという意味でそういう食事にしている」。

「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でスターターを務める阪神原口(撮影・清水貴仁)
「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でスターターを務める阪神原口(撮影・清水貴仁)

そんな「食事改革」のかいあって昨年は6月上旬に1軍に復帰。初打席初安打やサヨナラ打、球宴では2試合連続本塁打など、数々の奇跡を起こした。オフの自主トレを挟み、まもなく春季キャンプを迎える。1年前は闘病中で参加できず、懸ける思いは強い。「昨シーズン中、キャンプってやっぱり大事なんだなと改めて感じた。バッティングにしろ守備にしろ、その準備期間がキャンプ」。新聞やテレビで全球団のキャンプ情報をチェックして「何か盗もう」と必死に毎日を過ごした昨年とはコンディションが違う。玄米パワーのおかげもあって? 「順調です」と笑顔で心待ちにした。

「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でスタートを前に記念撮影を行う、前列左から浜中氏、原口、岩田勉すさみ町長、狩野氏(撮影・清水貴仁)
「原口文仁チャリティーランフェスティバルinすさみ」でスタートを前に記念撮影を行う、前列左から浜中氏、原口、岩田勉すさみ町長、狩野氏(撮影・清水貴仁)

野球教室やトークショーも行い、多くのファンと触れ合う充実の1日を過ごした。「自分の今までの成績では足りない。もっともっと結果を残さないといけない」。再びグラウンドに立つエネルギーをもらった思い出の地でキャリアハイを約束。完全復活に向け、原口の準備は万端整った。【只松憲】

◆金芽ロウカット玄米 玄米表面の蝋(ろう)層を均等にカットした新種の玄米。白米に比べ、カロリー、糖質ともに約3割カット。一般的な玄米は栄養価は高いものの臭みが残るとされるのに対し、栄養成分をキープしたままうまみを味わえる。炊飯器の白米モードで手軽にふっくらと炊くことができる。

(2020年1月18日、ニッカンスポーツ・コム掲載)