<オープン戦:日本ハム2-6巨人>◇22日◇タピックスタジアム名護
巨人の「アトム」が、自慢の怪力でオープン戦第1号を決めた。支配下登録へ猛アピールを続ける育成選手のイスラエル・モタ外野手(24)が、4打数3安打2打点の大暴れ。第2打席で左前適時打を放つと、8回にはトドメのダメ押しパンチを見舞った。
背番号「014」の上に記された「MOTA」は、逆から読めば「ATOM」。手塚治虫の大ヒット漫画「鉄腕アトム」のように、みんなのヒーローとなる。
グラウンドに右膝を付きそうになりながらも、モタは自慢の“鉄腕”でボールをかち上げた。8回無死。133キロのフォークに体勢を崩されたが、ヘルメットをふき飛ばすほど強振。長嶋茂雄巨人終身名誉監督をほうふつとさせるフルスイングで放った打球は、♪空を越えてラ・ラ・ラ左翼のかなた~。「くらいついた。毎日競争。結果を出してアピールするしかない」と、オープン戦第1号にも気を抜くことはなかった。
「MOTA」は逆さから読むと「ATOM(アトム)」。気づいた球団幹部が「アトム!」と呼びかけても、ドミニカ共和国出身の24歳はもちろん、ちんぷんかんぷん。それでも愛嬌(あいきょう)たっぷりの笑顔と怪力でチームのいじられキャラとなっている。第2打席の左前適時打に続き、第3打席では右前に技ありの一打。「どんなボールにもコンタクトできるように準備していた」と笑顔を爆発させた。
“10万馬力”のパワーの源は、好き嫌いのない食事だ。苦手な食べ物を聞かれても「特にない。何でも食べます」。キャンプ中の昼食は好物のフライドポテト、肉が中心も、野菜もしっかり摂取。バランスの取れたエネルギー補給を心がける。
今季は新戦力に左打者のパーラを獲得したが、右の大砲候補の補強はなし。期待を背負い、キャンプファームスタートから、沖縄1軍 キャンプの切符をつかんだ。体勢を崩されながらスタンドまで運んだ1発に、原監督も「うまく風に乗せたね。スピンを利かせられるバッターはそうそういません」と長距離砲の資質を感じ取った。
ここまで実戦9試合で32打数11安打。打率3割4分4厘に加え、チームトップの9打点を挙げて、支配下登録まで秒読み段階にこぎ着けた。鉄腕モタが、ジェット全開で評価を上昇させている。【久永壮真】
(2020年2月23日、ニッカンスポーツ・コム掲載)