<高校野球兵庫大会:明石商7-0小野>◇4日◇4回戦◇明石トーカロ

全国高校野球選手権の代替となる各都道府県独自大会が4日に各地で行われ、兵庫では明石商が、今秋ドラフト候補のエース中森俊介投手(3年)の7回3安打無失点の快投で小野に8回コールド勝ち。体調がいまひとつだったが、狭間善徳監督(56)の「今日も3年生全員が出られるように」のゲキに応えた。

照りつける日差しは、スポットライトだ。立ち上がり、変化球で2三振を奪い3者凡退の立ち上がり。2回以降は1-0の展開が続いたが「二塁ランナーがいたり、点差があるより接戦の方が燃えます」。競り合いはむしろ歓迎だ。走者を背負う時こそ、見せどころ。8球団12人のスカウト陣の前で、3回、野手の失策などで2死一、二塁のピンチも146キロ直球で左飛。得点圏に走者を背負った5回も、145キロ直球で見逃し三振に斬った。

小野戦に先発し、7回3安打7奪三振で無失点に抑えた明石商・中森(撮影・望月千草)
小野戦に先発し、7回3安打7奪三振で無失点に抑えた明石商・中森(撮影・望月千草)

おとこ気を貫いた。当日朝は体調不良を覚えたが、狭間善徳監督(56)の「今日も3年生全員が出られるように」の一言でスイッチが入った。メンバー変更が可能な県独自大会は、3年生全員が交代で出場。出ていないのは下山峻平外野手のみ。勝たなければ最終戦で出番が回らない。「気合が入って治りました」。試合中も指揮官の「甲子園で勝つよりこっち勝って全員出す方が大事やから!」の言葉に奮起。剛と柔のコンビネーションで、7回3安打1四球7奪三振で無失点。初回に148キロをマークするなど、終盤でも140キロ台後半を連発。指揮官のゲキが栄養剤になった。

独自大会は残り1試合。野菜好きの中森は「ビタミンCが豊富なのでパプリカを。コンビニの野菜ジュースも」と体調管理のため、ビタミン摂取に意欲的。物事を突き詰めるタイプという右腕は「ビタミンAは免疫力が上がります」と博識ぶりで、コンディションを整える。狭間監督も「力を抜いて投げられるようになっている。チームのためというのを感じる」と見守る。世代屈指の右腕が、本領発揮へ駆け上がる。

▽阪神和田テクニカルアドバイザー「ねじ伏せる投球も打たせて取る投球もできる。甲子園(交流試合)でどんな投球をするのか楽しみ」

(2020年8月4日、ニッカンスポーツ・コム掲載)