日本水連は27日、ドーピング検査に関する「注意喚起」のために、競泳男子の松元克央(23=セントラルスポーツ)が巻き込まれたケースについて公表した。
松元は2月のメキシコ高地合宿中に国際水連(FINA)のドーピング検査を受けた。5月に検査結果として違反物質がごく微量検出された、と報告を受けた。FINAは検査結果とともに、松元に対して、メキシコ滞在中に、いつ、どこで何をどれぐらい食べたかの報告を求めた。
松元は6月26日、FINAに対して、食べたものについての報告を行った。
日本水連は7月6日、FINAから松元宛てに届いた文書を受け取った。その文書には、松元の報告書を基に、FINAドーピングコントロール審議会にて審議を行った結果、違反物質は検査数日前に故意ではなく、食事などにより混入したものと判断。今回のケースはアンチドーピング規則違反に当たらないと結論する、とされていた。
違反物質は、中国・メキシコなどにおいて、食肉の肥育目的で使用された同物質に汚染された食肉を摂取したことが原因であったとの事例があるという。このケースに関して、国際アンチドーピング機構、日本アンチドーピング機構からも注意喚起がなされている。
ただ注意喚起がなされているとはいえ、食事の中に違反物質が入っている可能性を自分のこととして認識して、注意することは簡単ではない。松元のケースはアンチドーピング規則違反ではなかったが、日本選手がメキシコ、中国で高地合宿を行うことは一般的となっている。
日本水連関係者は「これからも海外高地合宿にいく選手は出てくるかもしれない。これは大きな問題だと感じて、松元選手側に、日本水連として今回のケースを公表したいとお願いをしました」。他の選手に向けた注意喚起、啓蒙(けいもう)のために松元、コーチ、所属先は日本水連の申し出を了承して、今回の発表となった。
(2020年8月27日、ニッカンスポーツ・コム掲載)