東京都の中学3年生の軟式野球部、軟式クラブチームの代替大会となる「リポビタントーナメント2020東京都少年軟式野球大会」の決勝が13日に行われ、駿台学園Aが東久留米ケープシニアを7-3で下し、優勝した。駿台学園は春夏7度の全国大会出場を誇る強豪。新型コロナウイルス感染拡大防止の影響で、出場予定だった春の全国大会や夏の公式戦が中止となり、一度は目標を見失ったが、昨年11月から始めた食トレを休校中も続け、ひと回り大きくなった体で猛暑のトーナメント戦を勝ち抜いた。

優勝した駿台学園Aの3年生メンバー
優勝した駿台学園Aの3年生メンバー

「勝利の瞬間はホッとしました。この日のために準備してきたので、負けるとは思っていなかったです」。優勝インタビューで林謙吾主将(3年)は堂々と言い切った。エースとして今大会初失点を喫したが、仲間の援護もあって快勝した。新チーム結成以来、73勝2敗2分(公式戦無敗)。この夏は、「食トレ」「熱中症対策」「感染予防」の3つを保護者と一体となって取り組み、最高の形で中学野球を終えた。

金メダルを持って柔軟性を披露してくれたエースの林主将
金メダルを持って柔軟性を披露してくれたエースの林主将

日本一を目指し長期的な増量プラン

昨秋、西村晴樹監督(39)が「春の全国大会で日本一を取ろう」という目標の下、専門家による栄養指導を取り入れた。担当の勝谷大コーチ(32)が長期的な増量プランを考案し、保護者にも協力をお願いした。「ポジション別の目標値(体重、体脂肪)、中学生に必要な栄養素と食べるタイミング、運動後のストレッチ指導、プロテイン、サプリメント選び…など、個人の記録をデータ化して、その選手に合った体作りを行ってきました。昨秋から平均10~15キロ増量し、動きのキレが増しました」(勝谷コーチ)。

栄養指導を受けた選手たちの夕食。量、バランスともに整ったものに
栄養指導を受けた選手たちの夕食。量、バランスともに整ったものに

大会期間中はアドバイザーの久保翔平さん(28)から「前日の夕食は揚げ物より、焼くか蒸すという調理法で。油を使うならオリーブ油を。飲み物はクエン酸を含んだものを」などの指導があり、保護者で共有して実践。体調万全で大会を乗り越えた。保護者会長の塚本晃市さんは「何も知識がないところからスタートしたので、具体的に言ってもらえて助かりました。息子(貴哉選手=3年)も『野球のためなら』と、食の意識がガラッと変わり、体が強くなりましたよ」と驚いている。

選手たちのお弁当。おかずの品数も豊富でカラフルだ
選手たちのお弁当。おかずの品数も豊富でカラフルだ

試合後はアイスバスで疲労回復

また、感染症対策として検温、消毒を徹底しながら、熱中症対策にも心を配った。

熱中症対策として、試合後のアイシングも重点を置いた
熱中症対策として、試合後のアイシングも重点を置いた

序盤は気温が35度を超える日も多かったため、選手たちは試合後にふくらはぎ、もも、ひじ、首をアイシング。学校に戻った後は勝谷コーチが提案した簡易アイスバスで「交代浴」を行った。

試合後、学校でアイスバスに入る選手たち
試合後、学校でアイスバスに入る選手たち

1年時から比べて15キロ増量した林主将は「中学野球は終わりましたが、まだ通過点です。ここから高校野球に向けての準備が始まるので、アドバイスを生かして頑張っていきたい」。3年生たちは卒業するまで練習に参加し、次のステージに向けて食事を含めたトレーニングを続けていく。【樫本ゆき】

駿台学園中学野球部 創部2003年。全国中学校軟式野球大会(全中)出場4回出場、2018年夏3位。春の全国大会(全日本)3回出場。中体連の東京都大会では春夏秋合わせて13度の優勝を記録し、秋では史上初の4連覇達成。主なOBはヤクルト清水昇(帝京-国学院大)。西村晴樹監督、勝谷大コーチ。部員数は3年10人、2年18人、1年19人。駿台学園は東京都北区王子にある男女共学の私立中高一貫校。