<コロナ禍を乗り越えて:早大ラグビー部(上)>
関東大学ラグビーの対抗戦が10月4日に開幕する。コロナ禍で春季大会が開催されず、菅平で行われる夏合宿も中止となるなど活動が制限される中で、選手たちはどのような感染対策をとり、モチベーションを維持してきたのか。食事面を含めた話を3回にわたり連載する。第1回は昨季11季ぶりに大学日本一に返り咲いた早稲田大学の覚悟について。
開き直って続けたトレーニング
開幕戦の青学大を間近に控え、NO8丸尾崇真主将(4年)は「まずは良かったです」と笑みを見せた。連覇のかかる大学選手権の開催は、正式発表されていない。それでも、そこにつながる対抗戦の日程が発表されたことで、少しだけ表情が晴れた。
「ゴールはぶれない。来年1月に“荒ぶる”をとること。そのために今、できることを1つ1つ積み重ねてきた」。大学日本一となった時のみ歌うことが許される勝者の歌、「荒ぶる」を歌うため、苦しい自粛期間を乗り越えてきたと言った。
活動自粛は3月下旬から6月下旬まで続いた。東京・杉並区上井草にある専用グラウンドに隣接する寮には、通常約60人のトップ選手が暮らすが、帰省する選手も多く、2~4年生の37人まで減った。
合同練習が再開しても、コンタクト練習ができるようになったのは7月末。例年、8月に約1カ月間行う菅平での合宿は中止となり、猛暑の都内で体を動かした。9月10日から4泊5日で福島・Jヴィレッジで合宿を行い、流通経大と練習試合を、その翌週に上井草で大東大との試合形式の練習を行っただけで公式戦に突入する。
誰も予想できなかった初めてのケース。先が見えない中でも、丸尾主将は悲観しなかった。「元々、自分は考え込むタイプではない。『できない』のと『何もしない』のとは違う。悩んでいても仕方ないし、良い意味で開き直ってトレーニングすることができた」。主将として、オンラインでのチームミーティングでも毎回言い続けた。「すべては日本一のために」。