今年、中日にドラフト2位で指名された日本体育大学の森博人投手(4年=豊川)も健志台合宿寮で生活した1人。「自分が目指すところが見えたら、食生活が変わった」と食事が成長を後押しした。

体重を増やすだけではだめ

「4年後はプロへ」と目標を掲げた入学当時の森は身長177cm、62kg。辻孟彦コーチ(31)の「1週間に0.1kgでも増やすように」の指導もあり、まずは体作りに取り組んだ。朝はご飯大盛り1杯、昼2杯、夜2杯。「当時はただ食べて体重を増やすだけ」と1年半で約9kgの増量に成功した。

間食はほとんどしない、という森。食事でしっかり栄養を摂る
間食はほとんどしない、という森。食事でしっかり栄養を摂る

「でも体が重い。筋量は増えていなかった。これは違うと気が付いた」。2年生の後半から、本格的に食事、栄養について勉強。食堂では、タンパク質が多く含まれるメニューを選び、1日に摂取できるタンパク質の量を大まかに計算し、足りない栄養をプロテインで補った。プロテインを飲むタイミングなども練習内容とリンクさせ、より効果的な食事を心がけた。

自分に必要な主菜、副菜を選んでいく森(中央)
自分に必要な主菜、副菜を選んでいく森(中央)

半年後の3年春には、球速が150kmを超えた。「体重は78kgまで増えたのに、ダッシュなどの瞬発系も軽くこなせるようになり足も速くなった。体が全然重く感じなかった」。筋力がつき、パワーの出力、調子のブレがなくなり、球速のアベレージも上がった。食事の効果がプロ野球へと後押しした。

「これからも勉強して、144試合を戦うための体作り、コンディション作りをしていきたい」。森の新たな戦いが始まった。【保坂淑子】

◆日本体育大学硬式野球部 首都大学野球連盟所属。1964年(昭39)の同連盟創設時から加盟する伝統校。今秋のリーグ戦では24回目の優勝を飾った。先のドラフトで森博人(投手=4年)が中日2位指名。智弁和歌山高・高嶋仁名誉監督らアマチュア球界にも多くの指導者を輩出している。

(2020年11月23日付、日刊スポーツ紙面掲載)