バレーボールのVリーグ1部パナソニック・パンサーズのアウトサイドヒッター、久原翼(25)は攻守ともにバランスの取れたオールラウンダーだ。2017年度から日本代表に登録され、2019年にはワールドカップでも活躍。父親がバレー指導者だったことから、兄2人とともに子どもの頃からバレーに親しんできた久原が、どんな食生活を送ってきたのか聞いてみた。【聞き手・中西美雁】
―好きな食べ物は
久原 ピザとか焼き肉とかですかね。カロリーが高いものは、好きです。
―嫌いなものは
久原 甲殻類ですね。エビ、あとはウニやイクラとか。
―エビ、ウニ、イクラ…。お寿司は食べられない?
久原 魚はいけるんです。魚の形をしているのはむしろ好き。マグロや白身魚とか。お寿司自体は好きなんですけど、盛り合わせになると大体、何個か食べられないのがあります。
―甲殻類と魚卵系がダメ
久原 そうです。カニもだめですね。「食べろ」と言われたら食べられますが、自分から進んでは食べません。
―小さい頃から食べ物の嗜好は変わりましたか
久原 基本的には変わっていませんが、小さい頃はキノコやこんにゃくも好きじゃなかった。でも、大人になったらキノコは好きになりました。ただ、大人になっても甲殻類だけはだめですね。
―子どもの頃の食のエピソードは
久原 エピソードと言えるかわかりませんが、牛乳は、給食でも家の食事でも結構飲んでいました。牛乳が給食で余ったりすると、いつももらっていましたね。
―それはやっぱり背が高くなりたかったから
久原 いえ、単に好きだったからですね。
―清水邦広さんや栗原恵さんも「牛乳が好きで、毎日飲んでいた」と言っていました。栗原さんは冷蔵庫に「マイ牛乳パック」があったそうです
久原 そこまではいかないですね(苦笑)。でも普通に好きで、毎日飲んでいましたよ。
―お母さんの料理で好きだったものは
久原 煮込みハンバーグや、鶏の手羽元の煮込みとかが好きでした。
―試合の前やトレーニング期の食事で、アスリートとして気をつけていることは
久原 試合前日や当日は、栄養士さんから炭水化物を多めにとるように言われているので、それを意識しています。当日はチームでうどんを食べています。ウエイトトレーニングもしているのでタンパク質は意識していて、寝る前にプロテインを飲んだりはしていますね。
―今シーズンからプロ契約したことで、食について考え方は変わったか
久原 今までは、チームが用意してくれた食事を食べることが多かったんですが、プロになったことでその頻度がだいぶ減ってきて、自分で用意するようになりました。環境自体も変わり、外食はそんなにできないですし、自分でコントロールしづらいところもあるので、栄養バランスも、より意識するようになりました。どういう食事がいいのか、まだ正解は分からないので、いろんなことを試しているところです。
―海外遠征の際、食事で苦労したことは
久原 そんなにないですかね。最初に海外遠征に行ったのは高校生の時だったので、その時はもうビビって、日本からすごい量の調味料を持っていったんです。今はそれも段々減ってきて、地元のものでなんとかしようという考え方に変わってきました。
―高校生の時に持っていったものは
久原 しょうゆ、ソース、ふりかけ系とか、マヨネーズも持っていった気がします。スーツケースの中で結構な体積を占めていました(笑)。
―ジュニアアスリートへのアドバイスをお願いします
久原 自分も、ちっちゃい頃は食についてそんなに意識はしてなかったですし、食べたいものを食べていました。それも悪くないと思います。我慢してストレスを掛けて気持ちが落ちるのが一番良くない。基本的には食べたいものをたくさん食べるのがいいと思います。ただ、トータルのバランスを考えて、「昨日お菓子を食べすぎたら、今日はやめておこうとか」は考えるといいんじゃないかな。今は(インターネットなどでも)調べれば、どういうものが体にいいか、(情報がたくさん)出てくると思うので、それに従いましょう。
◆久原翼(ひさはら・つばさ) 1995年3月18日生まれ、兵庫県尼崎市出身。市尼崎から東海大を経てパナソニックへ。男3人兄弟の末っ子で父親がバレー指導者だったことから小学生の頃からバレーに親しむ。アンダーカテゴリ(年代別日本代表)から日本代表に選出され、春高バレーやインターハイに出場。東海大で主将を務め、大学4年でシニアの日本代表に初選出。19年ワールドカップで活躍。4歳上の次兄大輝もVリーグ、JTサンダーズ広島でプレーしている。190センチ、80キロ。