笹川スポーツ財団による「スポーツアカデミー2020」の第6回「運動・スポーツにおける食の重要性とその調理法~学齢期、シニア層向けのレシピを大公開」が17日から、オンライン上で開催された。
「自分の体を作るのは、自ら主体の食」
花咲徳栄高校の會田友紀先生は「コロナ禍における高校生の食とスポーツについて」、女子栄養大学栄養学部の府川則子准教授は「シニアの筋肉に必要な運動・栄養・食事とは?」と題して、それぞれ講演を行った。
會田先生の講義ではコロナ禍の中、マイナスだけでなくプラスもあったと説明。部活動に制限がかかる中「ステイホームで時間ができたことで筋トレや食に関する興味を増やす生徒、料理をしてみた生徒など、これまで取り組めなかったことに時間を費やす生徒が多かった」と話した。
特に今後の「食」×「スポーツ」の発展に向けて、コロナ禍を過ごした生徒たちは自分たちに何が必要かを考える機会になったとし、「自分の体を作るのは、自ら主体の食」と意識を持たせ、少しずつ自立させていくことが重要とした。
次に、府川准教授はシニア世代の食事・栄養について講義を行った。近年話題に上る「フレイル(虚弱)」状態に陥らないためにも、体重の定期的な計測が重要と説明。75歳を境に男女ともに身体の機能が大きく変化するため、体重減少を放置していくと健康に大きな影響が及ぶ可能性があるとした。
タンパク質不足にはみそ汁に「ちょい足し」
中でも低栄養による筋肉量の減少に注意が必要として、各年齢や体格に則したBMI数値の目標を明示。欧州栄養代謝学会(ESPEN)のデータを用いて、低栄養のリスクがある高齢者は体重1キロあたり、1.5グラムを目安にタンパク質を摂取することなどを話した
しかし、高齢者は食事量が低下しがちな点も考慮する必要があると説明。消化能力が低下している可能性もあり、タンパク質を効率よく摂取するためにアミノ酸の一種であるロイシンを多く含む食品の活用も効果的とした。牛乳やスキムミルク、かつおや鶏肉、納豆などを例に挙げた。
また主食、主菜、副菜とバランスの良い食事の形を作りながら、「ちょい足し」でタンパク質を補う方法も披露。朝食のみそ汁に麩や卵を入れるなどの工夫をし、筋肉維持のための食事を続けていくヒントを紹介した。
24日の夜にはオンライン上でリアルタイムの質疑応答を実施。會田先生、府川准教授らが参加し、視聴者からの質問に答えた。「高校生におススメの間食は?」という問いに會田先生は「お菓子はやめていただきたいのが一番」とアドバイス。「手軽に取れる果物類、乳製品」を挙げ、3食でまかないきれない栄養素を摂るようにすることを勧めた。