五輪初出場の大橋悠依(25=イトマン東進)が、競泳女子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した。大橋悠依の父忍さんが日刊スポーツに「手記」を寄せた。

女子400メートル個人メドレー決勝 優勝した大橋は金メダルをかじる(撮影・鈴木みどり)
女子400メートル個人メドレー決勝 優勝した大橋は金メダルをかじる(撮影・鈴木みどり)

風邪をひいたらすぐに肺炎に

金メダルはびっくり、びっくりです。声も出ませんでした。すごい、すごい。東京に行っても会場周辺が封鎖されているというので、滋賀・彦根市内の自宅で見ました。昨日の予選を見て、吹っ切れた表情をしている、メダルはとるかもと思ったけど、あくまで期待でした。予選全体3位は微妙なところ。悠依が日本代表に入るだけでもすごいと思っているので、4番でも5番でもいいから楽しんでほしいと思った。金メダルは考えられないことです。

大橋悠依の父、忍さん=2019年4月
大橋悠依の父、忍さん=2019年4月

悠依は、3人姉妹の末っ子で、いつもお姉ちゃんの後をついて歩いた。何でも姉のマネしたがる。上の2人が年子でもあり、いつも同じものを3つ買ってました。「私も、私も」と悠依がほしがるので。

小さい頃は、3姉妹の中で一番体が弱かった。よく彦根城のお堀の中にある病院に連れて行った。風邪をひいたら、すぐに肺炎になっていた。でも薬を吸引するのがうまいんです。病院で姉たちは座っていられずにぐずったけど、じっと動かずに、吸っていた。

女子400m個人メドレーで金メダルを獲得しガッツポーズする大橋(撮影・鈴木みどり)
女子400m個人メドレーで金メダルを獲得しガッツポーズする大橋(撮影・鈴木みどり)

食べ物もアレルギーもあった。卵、魚介類は絶対に食べない。最初は理由がわからなかった。4歳のころ、私の会社の旅行で民宿にいって、カニやエビを食べたら、夜にじんましんがたくさん出た。アレルギーの検査をしたら、卵は一切だめ。今も卵を食べるとしたら、お好み焼きの卵ぐらい。おでんも何でも、別の鍋で作った。取り分ける箸に卵がついてもダメだった。小中高とずっとそう。卵がはいっているものを食べたら、わかるというんです。舌が「しびれる」と。ただ悠依はすごく食べる。お好み焼きは普通の倍の大きさを、2枚は食べる。姉たちの倍は食べていた。ただ水泳でエネルギーを消費してるから太れなかった。400メートル個人メドレーはタフな種目と言いますが、よくやっていると思います。

やると決めたら、抜群の集中力

スイマーになってなかったら、何になっていたでしょう。学校の先生になっていたんじゃないか、と思います。勉強はよくできる方でした。中学校は体育が「3」「4」だったけど、あとは大体「5」でした。やるときめたら、ものすごい集中力を発揮するタイプ。だから今はもう200メートルに向けて切り替えていると思います。少したって、地元に帰ってきたら「頑張ったな」といってあげたい。

(2021年7月26日、ニッカンスポーツ・コム掲載)

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