<オフの球児メシ(4)>

しっかり食べてシーズンインに備えよう! トレーニング効果を高める食事とは? 最新科学に基づいて、中学球児と保護者、指導者の皆さんが手軽に作れておいしい食事のポイントを、管理栄養士の新出(しんで)真理さんと岩澤茉莉子さんが5回にわたってお届けします。第4回は「鶏ハムで疲れに負けないパン朝食」。根強い人気の手作り鶏ハムを作って、主食がパンの簡単朝食を紹介します。

しっとり鶏ハムで疲労回復

疲労予防や回復効果のある食材として人気の鶏ハムを使ったパン定食
疲労予防や回復効果のある食材として人気の鶏ハムを使ったパン定食

新出 岩澤さん、今日はどんな相談だったの。

岩澤 保護者から、朝食がパンの場合の献立と、疲労回復に良いという鶏肉レシピを聞かれました。

新出 朝食は「主食」がパンのご家庭も多いものね。短時間に、タンパク質が多い「主菜」と、ビタミン・ミネラル源の「副菜」、そして、「牛乳・乳製品」「果物」をそろえられる献立は大切よ。

岩澤 作り置き料理は、朝の時間を節約できますね。

新出 管理栄養士仲間も作り置きを多用しているわ。

岩澤 鶏ハムは、根強い人気レシピですね。

新出 鶏むね肉は高タンパク質で脂肪が少ないし、低コストのおすすめ食材。でも、調理によってはパサパサしやすいのが難点。

岩澤 鶏ハムなら、しっとり仕上がりますものね。

新出 冷蔵庫で3~4日は保存もきくし、普通のハムより食塩量をコントロールできるのも魅力ね。

岩澤 鶏むね肉といえば、イミダゾールペプチドという成分に疲労回復効果があることで評判ですね。

新出 疲労予防や回復効果に加えて、抗炎症作用があるから生活習慣病の改善や、脳組織の老化を抑える働き、高齢者の記憶機能改善作用も論文になっていたわね。

岩澤 興味あるわけだ!

新出 鶏ハムは簡単だから、日曜に作れば水曜までは主菜が簡単に取れるし、お弁当にも使いやすいの。

岩澤 とはいえ、鶏肉だけ食べていれば良いわけではないですけどね。

新出 野菜も残さず食べてほしいよね。

岩澤 サツマイモとリンゴのレモン煮は、学校などの給食でもよく使う、作り置きができる1品ですね。

新出 食物繊維もビタミンCもしっかりとれるし、朝に食欲がない時も、これなら口に入りやすい。間食にもぴったり。アレンジとしては、主材料をオレンジジュースで煮ても簡単。

岩澤 空腹で帰宅した時に、食事の準備ができていないなら、お菓子よりこちらがおすすめです。

新出 ホットチャイはショウガを入れて体を内側から温めることで、頭すっきり、ケガ予防。トレーニング効果をサポートしてくれます。

主食がパンの時短朝食メニュー

<作り置き>
鶏ハム

材料:作りやすい量
若鶏むね肉(皮なし)…1枚(約250g)
砂糖、塩…各小さじ1
粗びき黒コショウ…少々

作り方
❶鶏むね肉は水分をふき取り、身の周囲をフォークで突き刺す。
❷耐熱のポリ袋に①と砂糖、塩、黒コショウを入れてもみ込む。
❸空気を抜いて袋の口を閉じ、冷蔵庫で30分ほどおく。
❹鍋にたっぷりの湯を沸かし、弱火にして③を入れ、5分ほどゆでて火を止め、ふたをしたまま30分ほど待つ。

調味料をもみ込んだら、冷蔵庫で30分ほどおいてからゆでる
調味料をもみ込んだら、冷蔵庫で30分ほどおいてからゆでる

❺粗熱が取れたらカットする。

湯に入れたまま30分ほど余熱で加熱し、鍋から出したところ。粗熱が取れてから切る
湯に入れたまま30分ほど余熱で加熱し、鍋から出したところ。粗熱が取れてから切る

<主菜+副菜>
鶏ハムサラダ

鶏ハムサラダ

材料:2人分
鶏ハム…60g
トマト…1個
キュウリ、キャベツ…各40g
サニーレタス…1枚
ニンジン…20g
ドレッシング…小さじ4

作り方
❶トマトは横に薄切り、キュウリは斜め薄切り、キャベツ、ニンジンは千切りにする。サニーレタスは適当な大きさにちぎる。
❷鶏ハムと①を皿に盛り付け、ドレッシングをかける。

<主食>
トースト

トースト

材料:2人分
食パン(6枚切り)…2枚
マーガリン…大さじ2

作り方
食パンを好みの焼き加減にトーストし、マーガリンを塗る。

<副菜+果物>
サツマイモとリンゴのレモン煮

主材料をオレンジジュースで煮るのも簡単。帰宅して夕食ができるまでの間食にも向く
主材料をオレンジジュースで煮るのも簡単。帰宅して夕食ができるまでの間食にも向く

材料:4人分
サツマイモ…1本(約200g)
リンゴ…1個(約300g)
砂糖…大さじ2
はちみつ、レモン汁…各大さじ1

作り方
❶サツマイモは皮を筋状に3本ほどむき、1cm厚さの輪切りにして鍋に入れる。リンゴは皮をむき、1cm厚さの薄切りにしてサツマイモの上に入れる。
❷ひたひたになるぐらいに水を加え、砂糖、はちみつ、レモン汁を入れ、落としぶたをして火にかける。
❸沸騰したら弱火にし、10分程度煮る。

<牛乳・乳製品>
ホットチャイ(スパイスミルクティー)

ホットチャイ(スパイスミルクティー)

材料:4人分
牛乳…300ml
紅茶…100ml
スパイス(シナモン、カルダモンなど)…少々

A
砂糖…小さじ2
おろしショウガ…小さじ1

作り方
❶牛乳にAを入れ、電子レンジで温める。
❷熱い紅茶を①に入れ、スパイスを好みの量入れる。

<今回の推し食材>
疲労予防や回復効果で評判のイミダゾールペプチドは、実は鶏むね肉以外にも含まれます。ペプチドとは、タンパク質の構成物質であるアミノ酸数個が結合した物質なので、肉以外に魚にも多い成分です。

今回は、鶏むね肉以外でイミダゾールペプチドを多く含む食品を紹介します。

魚系:マグロ、カツオ=良質なタンパク質に加えて、赤身の魚なので鉄も豊富。スタミナ対策に推し。
肉類:鶏ささみ、豚ロース、豚もも肉(多い順)=脂肪のとり過ぎには注意。

規則正しい3食で、免疫機能高めよう/新出の目

南北に細長い日本では、雪で花粉はまだの地域もあれば、花粉が随分と飛んでいる地域もあります。花粉症の原因は花粉に対する免疫機能の過剰反応なので、食事だけで直接、花粉症を治すことは難しいでしょう。

しかし、食事に気を付けることで、花粉症などのアレルギー症状を改善する可能性はあります。アレルギー症状は夜間から明け方に症状が強くなる特徴があります。これは、体内時計と関連していることが、分かっています。体内時計はおよそ24時間のリズムを刻んでいますが、食事や運動、睡眠、ストレスの影響を受けます。

例えば夜遅くの食事や朝食抜き、朝食時間のずれは、体内時計のリズムを乱します。朝食をとることは、学力や体力と関係があることは明らかです。加えて、朝、昼、夜と3食規則正しく食べること、さらにバランスの良い食事は、さらに体内時計を整えます。

免疫機能を高めるためにも、平日だけでなく、土日や祝日、春休みなどの休日も朝食をいつもの時間に食べる習慣を、成長期の今の時期から身に付けてほしいものです。

◆新出真理(しんで・まり)管理栄養士・博士(栄養学)。管理栄養士・博士(栄養学)。ヘルスサポート研究会カナン代表。健康経営に関わる傍ら、大学で医療従事者等を養成。一般社団法人日本栄養検定協会顧問。女子栄養大栄養科学研究所客員研究員。

◆岩澤茉莉子(いわさわ・まりこ)管理栄養士・修士(保健学)。管理栄養士・修士(保健学)。公認スポーツ栄養士。大学時代からジュニアスポーツ選手の栄養サポートを経験。女子栄養大栄養科学研究所客員研究員。
(2022年2月26日付、日刊スポーツ紙面掲載)