<オフの球児メシ(5)>
間食もおいしく食べてシーズンインに備えよう! トレーニング効果を高める食事は、楽しめることも大切。最新科学に基づいて、中学球児と保護者、指導者の皆さんが手軽に作れておいしい食事のポイントを、管理栄養士の新出(しんで)真理さんと岩澤茉莉子さんが5回にわたってお届けします。最終回は「楽しく栄養補給! 手作り間食」。小腹がすいた時におすすめの間食を紹介します。
おやつもトレーニングの一部
新出 岩澤さん、今日はどんな相談だったの。
岩澤 新キャプテンから、おすすめのおやつについて、質問されました。みんなも、知りたいそうですよ。
新出 頼もしいなあ。おやつもトレーニングの一部として大切に、楽しみながら、上手にとってほしいわね。
岩澤 成長期の中学球児はおなかがすく時期だし、トレーニング量が多いこの時期はエネルギー消費量も増える。3食では足りないこともあるよ、と伝えました。
新出 そう。おやつは、朝・昼・夕の3食でとりきれないものを補う「補食」と理解するのが「正解」。
岩澤 だから、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物的なものを食べよう、と例のレシピを紹介しました。
新出 市販のスナック菓子等だと砂糖と油脂が多くて、必要なタンパク質やビタミン・ミネラル、食物繊維が不足しやすいものね。
岩澤 今回のレシピも、簡単。練習後にすぐ食べたい時には、軽食的な肉まん。
新出 食パンで作るので「主食」+「主菜」。コンビニなどで買うのもいいけど、自分で作れるとアレンジもできて楽しいよ。朝食にも夜食にも便利ね。
岩澤 具が肉とツナなのは、少しでも魚を取ってほしいからというのもあるし。
新出 ツナの味つけと油で味に深みが出ておいしくなるの。嫌いでなければ、納豆、チーズ+ホウレン草やおかずを入れてもOK。
岩澤 余ったパンの耳も無駄にせずにラスクに。
新出 甘味系は大豆が原料のきなこと砂糖。塩味系は粉チーズと黒コショウ。
岩澤 保護者も好きそう! スイーツは、炊飯器で作る簡単チーズケーキ。
新出 ホットケーキミックスで炭水化物を、卵とヨーグルトでタンパク質とカルシウムをしっかりとれる上、乳酸菌もとれて腸内細菌のバランスも良くなるの。
岩澤 なんちゃってアイスは、材料のサトイモとバナナにびっくり!
新出 果物の甘みとサトイモ、バナナの粘りを利用したの。牛乳や大豆アレルギーがある球児も食べられるよね。硬いままシャリシャリ食べてもいいし、少し冷蔵庫で溶かすとアイスクリーム風。生クリームを使っていないから、エネルギー量や体重が気になる球児も安心。家族に作ってあげても喜ばれると思うわよ。
肉まん(主食+主菜)
◆材料:作りやすい量
食パン(8枚切り)…4枚
豚ひき肉…60g
ツナ缶…小1/2缶(40g)
タマネギ…20g
A
片栗粉、オイスターソース、おろしショウガ…各小さじ1
◆作り方
❶タマネギを粗みじん切りにする。
❷ボウルに①と豚ひき肉、ツナ缶、Aを入れてよく混ぜ合わせる。
❸バットに水1/2カップと片栗粉大さじ1を入れて溶かす。
❹耳を落とした食パンの片面と側面を③に軽くつける。
❺ラップを広げ、食パンの③をつけた面を下にして置き、真ん中に具をのせる。
❻食パンの角同士が合うように具を包み、ラップの上をねじって5分ほど置く。
❼湯気が出ている蒸し器にクッキングシートを敷き、ラップから取り出した⑥を入れて10分蒸す。
食パンのラスク
◆材料
食パンの耳(8枚切り)…4枚分
A(きなこ味)
油…小さじ1
きなこ、砂糖…各小さじ1
B(チーズ味)
オリーブ油、粉チーズ…各小さじ1
黒コショウ…少々
◆作り方
❶食パンの耳を好みのサイズに切り、トーストする。
❷フライパンに油を入れて弱火で熱し、①を入れて油がなじむまで炒める。
❸火からおろして半分に分け、半分にAを、半分にBをかけて混ぜる。
チーズケーキ(ココア風味)
◆材料:5合炊き炊飯器で作りやすい量
ホットケーキミックス…100g
卵…2個
プレーンヨーグルト…400g
砂糖…50g
ミルクココア(甘い粉末)…大さじ4
◆作り方
❶ボウルに卵と砂糖、ヨーグルトを入れてよく混ぜる。
❷①にホットケーキミックスとミルクココアを加え、こねないようにざっくり混ぜる。
❸炊飯釜の内側に軽く油(分量外)を塗り、②を入れて、炊飯モードで1時間加熱する。竹串を刺して生地がついてこなければ焼き上がり。生地がついてくるようなら、10分くらいずつ追加加熱をする。
❹加熱が終わったら、釜を逆さにして中身を出し、冷めたら冷蔵庫で冷やす。
※6等分すると1切れ約160kcalで1人分。
なんちゃってアイス
◆材料
冷凍サトイモ…8個(200g)
バナナ…1本(100g)
イチゴ…6個(80g)
A
はちみつ、レモン汁…各小さじ2
◆作り方
❶冷凍サトイモは熱湯で15分ほどゆで、ボウルでマッシュして粗熱を取る。
❷①の粗熱が取れたら、皮をむいたバナナ、イチゴ、Aを入れてマッシュする。滑らかにしたいときには、ブレンダーにかける。
❸ジッパー付きの保存袋に移し、平たく広げて冷凍する。
❹食べる少し前に冷蔵庫で溶かすと、さっぱりめのアイスクリームになる。
よい間食の3条件とは/新出の目
3月に入り、昼間の時間が長くなりました。昼と夜の時間が同じになる春分の日が過ぎれば、すぐに新学期です。
成長期の球児にとっては、1年前に比べて、身体の変化も大きいものでしょう。成長期には、身長が伸びる時期と太さ・厚みが増す時期が交互に来ます。いずれの時期にも大切なことは、成長に必要な栄養素が不足しないこと。
練習量が多くて食欲がない場合や、食事まで待てずに寝てしまう場合、また、1度にたくさん食べると胃腸に負担がかかる場合は、間食で栄養素等を補給することが大切です。
球児にとって良い間食の条件は次の3つ。
①スタミナ源である炭水化物に加え、必要なタンパク質、ビタミン、ミネラルが一定量補給できること。
②砂糖や油脂、食塩のとり過ぎにならないこと。
③3食がしっかりとれているなら、エネルギー量が1日の摂取量の10%以内であること。
また、食事を楽しむことも、疲れを癒やし、心身の健全な成長には必要です。
楽しみながら間食を作ったり、リラックスして味わう時間も大切にしましょう。
◆新出真理(しんで・まり)管理栄養士・博士(栄養学)。管理栄養士・博士(栄養学)。ヘルスサポート研究会カナン代表。健康経営に関わる傍ら、大学で医療従事者等を養成。一般社団法人日本栄養検定協会顧問。女子栄養大栄養科学研究所客員研究員。
◆岩澤茉莉子(いわさわ・まりこ)管理栄養士・修士(保健学)。管理栄養士・修士(保健学)。公認スポーツ栄養士。大学時代からジュニアスポーツ選手の栄養サポートを経験。女子栄養大栄養科学研究所客員研究員。
(2022年3月12日付、日刊スポーツ紙面掲載)