スポーツ観戦はいまやテレビだけではなく、オンラインのライブ配信を利用する人が増えています。11月に開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会でも、ネットの利用を検討している人も多いのではないでしょうか。

バーチャルプライベートネットワーク(VPN)サービスプロバイダーのExpressVPNは、近年のスポーツとネットでの「ライブ」観戦との関係に注目し、日本のスポーツファンの検索動向を調査しました。

2017年から検索数が増加

Googleで「スポーツ」「ライブ」と検索された数値を棒グラフに表すと、2017年から2021年にかけて増加しています(下グラフ左側)。

「スポーツ」「ライブ」の検索の人気度の動向(ExpressVPN調べ)
「スポーツ」「ライブ」の検索の人気度の動向(ExpressVPN調べ)

折れ線グラフの大きく伸びている点について見てみると、2019年の10月は日本で初めてラグビーワールドカップが開催。日本代表が史上初のベスト8入りを果たし、日本中が歓喜に包まれました。2020年の春は、新型コロナウイルスの感染が拡大した時期。この影響で、スポーツはネットで観戦するという人が増えたことがわかります。

2021年の7月下旬から8月にかけては、東京オリンピックの開催期間。ほとんどの会場で無観客開催だったこともあり、検索数が大きく伸びました。2021年8月後半は2年ぶりに高校野球の決勝戦が行われ、2021年の10月末はプロ野球で東京ヤクルトスワローズが6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝、オリックス・バファローズが25年ぶり13度目のパ・リーグ優勝を果たしたことが検索に反映されたと言えそうです。

テニス以外のスポーツで検索数が増加

日本で人気のスポーツのうち、「ライブ」と併せて検索されたスポーツについて、Googleトレンドの「人気度の動向」(年間平均)を2021年と2017年で比較しました。

人気のスポーツと「ライブ」の人気度の動向(ExpressVPN調べ)
人気のスポーツと「ライブ」の人気度の動向(ExpressVPN調べ)

テニスを除く各スポーツで、2021年の方が相対的に多く検索されています。特に地上波やBSでの無料生放送が行われないF1や、ネット配信が主流のボクシングは人気度が高く、オンラインでの視聴に大きな需要があることがわかります。

また、プロ野球や高校野球の人気を考えると、野球が上位にランクインするのは不思議ではありません。フィギュアスケートについては、2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪で2大会連続オリンピック金メダリストの羽生結弦選手への人気の高さが、フィギュアスケート界の「ライブ」に対する関心を押し上げたと言っても過言ではないでしょう。

これらのデータは、その年のスポーツイベントや選手の活躍によっても大きく左右されます。2022年11月にはサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会が開催されるため、サッカーが注目されることでしょう。

チーム別ではサッカーより野球に軍配

日本で人気のサッカーと野球。それぞれファンが多い以下の4チームと「ライブ」との検索について、比べてみました。

サッカー:FC東京、浦和レッズ
野球:巨人、阪神

2021年のサッカーと野球チームの検索分布(ExpressVPN調べ)
2021年のサッカーと野球チームの検索分布(ExpressVPN調べ)

まず、上記の日本地図が示す通り、4チームの中では、全国的に野球の2チームが優勢でした。「巨人」で検索する都道府県が多いものの、関西方面ではやはり「阪神」の基盤が強いと言えます。また、「浦和レッズ」の埼玉県は、全国で唯一、野球を抑えてサッカーへの関心が高いことを証明しました。

2021年のチーム名と「ライブ」の人気度の動向(ExpressVPN調べ)
2021年のチーム名と「ライブ」の人気度の動向(ExpressVPN調べ)

また、チーム名と「ライブ」との検索結果でも、やはり野球のチームが優勢でした。「巨人」よりも「阪神」の方が人気が高い傾向にあり、熱心なファン層の存在を示す結果となりました。

国民が沸いたスポーツ界の注目の日

近年のスポーツ界で、「人気度の動向」が急上昇した記憶に残る日をいくつか紹介します。

近年のスポーツ界の注目の日(ExpressVPN調べ)
近年のスポーツ界の注目の日(ExpressVPN調べ)

2019年10月のラグビー日本代表の快挙は記憶に新しく、チーム目標だったベスト8を達成して話題となりました。2021年4月はゴルフで松山選手がマスターズ・トーナメントを制して日本人初のメジャー制覇という快挙を成し遂げ、ゴルフの人気を押し上げる一因となりました。

2021年の東京オリンピックは、日本はもちろん、世界が注目した大会となりました。また、日本でのフィギュアスケートの人気は非常に高く、直近では、2022年2月の冬季オリンピックでの羽生結弦選手の健闘が注目されました。

エンゼルス大谷選手の活躍も

日本での米国メジャーリーグ(MLB)の人気において、近年の活躍が目覚ましいエンゼルスの大谷翔平選手の影響を、「MLB」「ライブ」の人気度の動向から興味深い点を紹介します。

大谷翔平選手がMLBエンゼルスに入団したのが2018年の春。その後、ア・リーグMVPに選出され、大活躍した2021年を経て「MLB」「ライブ」への関心が急激に高まっています。

「MLB」「ライブ」の検索の人気度の動向(ExpressVPN調べ)
「MLB」「ライブ」の検索の人気度の動向(ExpressVPN調べ)

A: 2018年2月24日 大谷選手 オープン戦でデビュー登板
B: 2018年4月1日 大谷選手 デビュー登板で勝利
C: 2019年10月22日 ワールドシリーズ開幕
D: 2021年7月7日 大谷選手 日本人最多の32号本塁打
E: 2021年7月13日 大谷選手 二刀流でMLBオールスターに出場
F: 2021年8月19日 大谷選手 2安打1打点、エンゼルスが8点差逆転勝ち
G: 2022年6月15日 大谷選手 10試合連続安打
H: 2022年7月19日 大谷選手 MLBオールスターの先頭打者で中前安打

大谷選手の活躍は引き続き注目されることでしょう。

以上のように、スポーツファンの関心は大きなイベントや大会、個々の選手の動向によって大きく左右されやすいことがわかります。そして、ファンの関心に応えるように、今後オンラインで視聴できるスポーツはますます増えていくでしょう。

出典:ExpressVPN「【調査結果】ネットの『スポーツ ライブ』への関心」(https://www.expressvpn.com/jp/blog/interest-in-sports-live-japan/