10月に行われた「さいたま市民大会」で優勝し、県大会で準決勝に進出(3位)したさいたま市立日進中の野球部がこのほど、管理栄養士の渡邊元美さん(関東学院大栄養学部客員教授)を招き、栄養指導を受けた。冬のトレーニングを前に1、2年生部員26人と保護者18人が参加し、約1時間の講習を受け、県大会優勝の目標に向けてモチベーションを高めた。
講義のテーマは「成長期の栄養について学ぶ~中学生編~」。なぜ中学生が栄養を学ぶことが大事なのかをベースに、渡邊さんは講義を進めた。
名門横浜高校野球部の寮母を約20年間務めた渡邊さんは実体験を元に、中学生の野球部員は1日約3000kcalをエネルギー摂取の基準とした上で、野球選手の生活を想定しながら効率よく体重を増やすためのコツを伝授した。「毎日同じ時間に体重を測ることが大切」「パンよりご飯のほうが良い理由」「朝ごはんはスマホの充電と同じ」など、中学生でも理解しやすい言葉で選手と保護者に説明した。
●主な講義の内容
・成長期とは?
・中学生の発育と成長曲線
・身長が伸びるしくみ
・日常生活で大切にしたい習慣
・必要な栄養素PFCバランス
・ジュース1本に含まれる砂糖の量
・タンパク質とプロテイン
・5色でわかるバランスのいい食事
・補食のすすめ
・ご飯とパンの違い
・朝食の大切さ
選手・保護者からの質問コーナーでは「補食にバナナはありですか?」「白米と雑穀米、試合の日はどちらがいいの?」「嫌いな食べ物の対処法は?」など率直な質問が集まり、渡邊さんは1つ1つ親切に返答。「夜更かしをしない」「睡眠時間をしっかりとる」などの生活習慣もアドバイスし、「みんなはまだ成長の途中。高校野球につなげて甲子園に出られるよう、少しずつ意識を変えていきましょうね」とメッセージを送った。
顧問の小野秀彬(ひでなお)監督は「秋の公式戦が終わって、こういう機会を設けたかったのでとてもいい時間でした。目的をもって、親子で同じ話を聞くことに意味があったと思います。大会になると、私学のチームに体格で負けてしまっていると感じたので、対等に戦うためには春までに強い身体作ってもらいたいですね」と話した。
選手を代表して、澤村友真主将(2年)は「自分はピッチャーをやっているので、夏までに球速をもっと上げたいと思っています。今日の話では、ご飯とパンの脂質の違いが1番驚きました。これまでは朝はパンが多かったけど、ご飯に代えて食べていきたいと思いました。秋は3位で終わったので、夏は県大会で優勝したいです」と決意を口にした。保護者からは「親子で栄養の話を聞くことができていいきっかけになった」との声が挙がった。
この秋、チームワークで好成績を収め、自信を深めた日進中は、指導者・選手・保護者が一枚板となって、来夏の県優勝に向けてチーム強化を図っていく。【樫本ゆき】