バレーボール女子日本代表として東京オリンピックに出場し、昨年の世界選手権でも攻守にわたり活躍したアウトサイドヒッター、林琴奈選手(23=JTマーヴェラス)の原動力は「お米」にあった。炊飯器のない海外遠征では補食に「アルファ米」を食べて、エネルギー切れを防いでいることを明かした。【聞き手・中西美雁】
-好きな食べ物と嫌いな食べ物は
好きな食べ物…お菓子とかでもいいんですか?
-いいですよ
好きな食べ物は、お寿司とチョコレートです。嫌いな食べ物はいっぱいあるんですけど、シイタケとかタケノコ、酸っぱいお酢のものがあんまり好きではありません。
-酢を使いますが、お寿司は大丈夫?
お寿司は大丈夫です。酢の物あんまり好きじゃないです。あと漬物も嫌いです。
-ご飯は“白いまま食べる派”ですか
ご飯はおみそ汁と一緒に食べたりしてます。子どもの頃からずっとそんな感じです。
-子どもの頃のご飯のエピソードは
試合前は私が好きなものを、母が作ってくれたので「頑張って」っていう気持ちが伝わってきました。
-「好きなもの」とはお寿司ですか
その頃はお寿司じゃなくて肉系が好きだったので、肉系のおかずが多かったですね。豚カツとか唐揚げとか。今はお肉よりお寿司のほうが好きですけどね。
-海外遠征中は「体力が落ちるのを防ぐために補食をとる」と言っていましたが、もう少し詳しく教えてもらえますか
チームで、お湯を入れて食べられるご飯「アルファ米」は欠かさず食べますね。他にも、にゅうめんや雑炊とかを作ってもらっています。海外でもタイ米はあるので、お茶漬けの素をかけて食べることもあります。お米でエネルギーを補えていたので、そこは(スタッフ陣に)すごく感謝してます。
-試合時の補食はゼリーやバナナですか
試合前の補食でも必ずアルファ米を食べるようにしていました。
-それはチーム全体で?
いや、個人的にです。
-やっぱりお米が力の元なんですね
そうですね。お昼ご飯を食べてからもおなか減ったりするので、そこでちょっとアルファ米を食べていました。
-男子の柳田将洋選手も代表として海外を回る時に、「僕のせいでアルファ米の備蓄がちょっと減っていたかもしれません」と言っていたのを思い出しました
そうなんですね(笑)。アルファ米好きです。おいしいです。
-食について、ジュニアアスリートへのアドバイスを
JTマーヴェラスに入って変わったのは、「食事のバランス」です。好きなものだけを食べるのではなく、いろいろなものを食べるようになりました。サラダはあんまり好きじゃないんですけど、野菜をとるために食べるようになりました。あとは、試合で最後までエネルギーが持つように、試合前は炭水化物を多く摂るとか、食への意識は変わりました。今からでもバランスよく食べることはやったほうがいいと思います。
-JTでは栄養指導があるのですか
栄養士さんから教えてもらいました。寮の食堂には、ご飯のグラム数やこれぐらい食べたほうがいいという朝昼晩の表があるので参考にしています。すごく助かってます。
◆林琴奈(はやし・ことな) 1999年11月13日生まれ。京都市出身。金蘭会中-金蘭会高-JTマーヴェラス。高校3年次は主将を務め国体連覇、春高バレーで優勝でMVPを受賞。18年にVリーグのJTに入社し、20-21シーズンには自身初のレシーブ賞を獲得するなど2度の優勝に貢献し、東京オリンピック代表に選ばれた。22年の世界バレーでは全試合に出場し、ベスト8入りに貢献した。173センチ。
◆アルファ米とは アルファ米は炊飯後に乾燥させて作った加工米のことで、お湯や水を注ぐだけでご飯になるため、非常時に利用されることが多い。海外遠征の多いアスリートの多くも利用している。保存期間は5年と長く、備蓄性も高い。アルファ米のアルファというのは、米のデンプンの状態のことで、炊飯して柔らかくなった(糊化)状態をアルファ化状態といい、炊く前の米や冷やご飯の状態になることをベータ化状態という。