夏本番、気温が高く、食品の保存に特に注意をしなければいけないシーズンが到来ですね。連日30℃以上となると、日頃の料理作りにも本当に気を遣います。

 この季節、親世代はどう乗り越えていたのだろう…記憶をたどると、私たちが子どもの頃、夏の食卓は、もっとシンプルだったことを思い出しました。焼き魚や冷や奴、肉炒めなどに、枝豆やトウモロコシを茹でて添えたり、キュウリを切って味噌や梅とともに…と言った単純な調理のものに、補いの一品として常温保存の可能な佃煮、漬け物、酢漬けなど味の濃い保存食を少し加え、暑い時期を乗り越える毎日だったと記憶します。

 ところが、ここ30年ほどで生活が変わり、食卓も欧米化。また、主婦も忙しくなり、常備菜のみならず日頃のおかずも作り置きが当たり前となりました。でも、当時よりも毎日の気温も高く、みんな忙しく、家族が揃わず、作り置きしたものが残りがち。そんな毎日だからこそ、食中毒という言葉が見え隠れして、悩みが尽きないのかもしれませんね。

 食中毒というと、大げさかも知れませんが、何かを食べてお腹が痛くなる症状は、ほとんどがこれ。毎日食べている家庭の食事でも起きている可能性は大いにあります。症状が軽かったり発症する人数が少なかったりするので、ちょっとした体調不良や風邪からくる腹痛などと自己判断してしまい、見過ごされているケースも多いと考えられます。放置していると重症化することだってあります。そうならないためにも、まずは、家庭内での予防方法をおさらいしてみましょう。

食中毒予防は中毒菌を「付けない、殺す、増やさない」

 食中毒菌は空気中に存在しており、全く無菌状態の食品というのはありません。なので、食品を安全に口に入れるためには、菌をできるだけ付けないようにし、万が一ついたとしても増殖しないように、殺菌、滅菌に努めなければなりません。

 衛生管理をしっかりし、ちゃんと殺菌するまで食品を加熱調理し、適切な保存をすることが大切です。

①付けない
 何より大切なのが手洗い。
 冬は、インフルエンザ予防などのために手洗いを心がける気持ちも高いのですが、夏も菌が手につくのは同じです。調理前、食事前は、しっかり石けんで手洗いすることをお勧めします。

②殺す
 一番簡単で有効な手段は、加熱です。
 いわゆる常備菜は1、2日に一度、レンジで熱々になるまで再加熱をし、広げて手早く完全に冷まし、再度冷蔵庫保存の形をとると、殺菌効果で日持ち期間は長くなります(食品の種類によって違いはありますが、通常の1.5倍程度もちます)

③増やさない
 菌の栄養素である「温度、栄養素、水分」を上手に管理する。
 菌を増やさないようにするには、何より菌が好む条件をできるだけ排除することに尽きます。温度については、保存する場合は冷蔵庫に入れるなど低い温度帯で管理する。栄養素は排除することはできませんが、余分な水分は切ることで腐敗はしにくくなります。

急な温度上昇避け、早めに、味濃く汁気少なめ

 それでは実際に、日々の生活ではどのように取り組んでいけばいいのでしょう?

買い物をして帰ってくる際、生ものは、急な温度上昇を避けるため、保冷状態で持ち帰りましょう。お店で氷やドライアイスを分けてもらったり、保冷バッグを活用したりしょう。

購入した生鮮食品は、できるだけ早めに使い切りましょう。肉、魚類はすぐ使わない場合は、下処理して冷凍保存しましょう。

夏の作り置きのおかずは、通常よりも味が濃く、汁気少なめで作りましょう。

保存容器は、衛生的なものを使用しましょう。熱湯をかけて殺菌、またはキッチンペーパーに酢を染みこませ、さっと拭くのも有効です。

作り置きおかずは、保存容器ごと食卓には出さず、食べる分だけ別皿に取り出すことを心がけましょう(温度が上がったり下がったりすることで、細菌の繁殖力がアップしてしまいます)

作り置きおかずの日持ちを伸ばしたい場合は、おいしく食べられるうちに、一度加熱殺菌するのが有効です(お弁当に入れる場合も、これが大切)。

食品そのもの以外にも、調理道具などは、きちっと乾燥が必須です。ついついおざなりになりがちの、布巾やまな板の衛生管理が意外に大切です。
 布巾は、漂白剤を使うのも1つの方法ですが、1リットルにつき大さじ1程度の酢を加えた水とともに鍋に入れ、グラグラ沸くまで加熱し、流水でもみ洗いすると、加熱と酢の力で殺菌され、衛生的です。
 まな板も、使い終わったらしっかり洗い(汚れたまま放置するのはNG)、熱湯をかけて殺菌します。また、昼間、太陽に当てて乾燥させることで細菌の繁殖をストップすることができます。

 外の気温も家の中の温度も昔より上がっています。夏は特別という認識を持ち、他のシーズンに作る料理との差別化が肝心です。「味わい、作りやすさ、保存性の高さ」の条件をクリアできる、名実ともに夏向きの料理を選んで作るのが、何より賢明かもしれませんね。

油味噌
油味噌

 今回は、そんな夏にぴったりのアスリート向け、保存食「油味噌」をご紹介します。油味噌は、暑い沖縄の地元料理。しっかり火を入れ、味を濃く仕上げてあるので、気温の高い夏にとても安心なお料理です。

油味噌

 豚肉+発酵食品である味噌+糖質の砂糖といった夏バテ防止の栄養がギュッと詰まった一品。多めに作って、半分は冷凍。常備品がなくなったらンレンジ解凍して補充というサイクルを作ると楽チンですよ。