「うちの子は陸上競技をやっているのですが、中距離ランナーとしての持続力のつく食事ってありますか」「筋力をつけたいのですが、補助食品のプロテインをとった方がいいでしょうか」などの質問を、選手自身からも、保護者からも受けることがあります。

 まずお聞きするのは普段の食事です。といっても、1週間程度の食事の傾向を聞いただけでは、実状をつかむのが大変です。これといった方針がある家庭はほとんどないので、「朝はパン、でも時々食べずに出かけます」「朝練があるときは、前の晩におにぎりを作っておくので、自分で食べて出かけています」といった話からは、食生活の断片しか分かりません。

 こんなとき、「食の地図」を持っているとお互いに助かります。「食の地図」とは、国が定めた「食事摂取量のガイドライン」のことです。性や年齢、運動量などに応じて、この人は、タンパク質を何グラム、脂質を何グラム…などと示してあります。

 もっとも、これを一般の人が見ても分かりにくいので、これを食品の量に置き換えて分かりやすくしたものが発表されています。その1つは「四群点数法」です。

 これは、1日に卵を1個、牛乳や乳製品はコップ1~2杯、魚か肉は1皿程度などと示してあるので、食事を作る人にも、食べる人にも役に立ちます。詳しくは今後、このコーナーで紹介していきますが、選手時代に限らず、一生健康な食生活を続ける指針となります。

1日に何を、どれくらい食べればよいか

 人生も食生活も、未知の世界を旅することと似ています。地図を持たずに知らない土地に入っていったら、とても目的地に行きつける保証はありません。スポーツでいえば、試合のときのフォーメーションに当たるものです。フォーメーションも決めずに試合に臨んでも、とても勝ち目はありません。食生活も同じです。

 スポーツ選手に関しては、競技種目によって食事のとり方に多少の違いはあるでしょうが、それは日常の食生活に「地図」がある人だから言えること。行き当たりばったりの食生活をしている人が、ある日、ある時、「パワー食」と称するものをとってみたところで、突然パフォーマンスが向上するということはありません。

 スポーツ選手に限らず、日本人全般に「1日に、何を、どれくらい食べればよいか」という「食の地図」が行き渡っているとは言えない現状ですが(もう50年以上前に提案されているのに!)、少なくともスポーツ選手は、こういうものを利用すべきだと思います。次回から、少しずつお話ししていきましょう。

厚揚げ新タマネギポン酢だれ
厚揚げ新タマネギポン酢だれ

 春野菜が出回る時期になりました。今回紹介するのは「厚揚げ新タマネギポン酢だれ」です。新タマネギをポン酢で味付けして、厚揚げとあわせることで、食べやすく工夫しました。