猛暑の中で、例年よりも夏休みが短いことで、夏の疲れが溜まってきている頃ではないかと思います。食事はとれていますか。暑さだけでなく、今までに経験したことのない感染症対策をしながら過ごす日々の中で、見えない精神的なストレスも加わり、食事量が落ちて夏バテになっている方も多いと思います。

今回は、黒酢や豚肉を活用した夏バテ対策を紹介していきます。

夏バテに効く酢のパワー

夏になると、酢の物や南蛮漬けなどの酢を使った料理に手が伸びることはないでしょうか。酢のパワーは、夏バテ対策として大きな力になってくれる可能性があります。アスリートやアレルギー疾患の方にとって、うれしい効果を簡単にまとめます。

酸味が唾液や胃液の分泌を促し、食欲増進の働きかけをします。
多く含まれるクエン酸がクエン酸サイクルを活発にさせ、疲労物質の乳酸を蓄積しないように促します。
BCAAというアスリートには特に重要なアミノ酸が含まれ、筋組織の修復や筋肉増進が期待されています。
腸内の悪玉菌の増殖を抑制し、善玉菌を増やすように働きかける作用があります。

アレルギー体質の方には「腸内環境を整えることが大切」と繰り返しお話ししてきましたが、今回の酢に加えて、食物繊維の多い野菜を十分に摂取すること、砂糖の摂りすぎに注意することなど、多角的にアプローチしたいものです。

今回紹介するのは、夏バテ対策の食材がつまった「ナスと豚肉のケチャップ黒酢あんかけ」です。ナスは今が旬。皮に含まれる色素、アントシアニンが抗酸化作用としても効果を一番発揮しやすい季節です。ナスが苦手な方は多いかもしれませんが、小さく切り、炒めることで食べやすくなる方もいます。

また、豚肉はエネルギー代謝に必要なビタミンB1が豊富に含まれています。暑くて食欲が落ちているとタンパク質が十分にとれないケースもありますので、今回は豆腐にかける形で紹介しています。豆腐あんかけにすることでカルシウム対策にもつながります。キノコ類を加えると、より一層カルシウムを補えます。

また、豆腐ではなくご飯にかけて、丼にアレンジすることもできますが、その場合はほかのおかずでタンパク質を補いましょう。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子