今春1人暮らしを始めた選手も、そろそろ慣れてきた頃でしょうか? そんな選手のお母さまから、食事の報告をいただきました。

 「頑張って自炊をしているようです。1人暮らしでは野菜が不足しやすいからと言って、野菜には気を使っているようですが、この間送られてきた写真には、お皿に手でちぎったレタスがのっていました」。

 セミナーでは、自宅で1人の場合や1人暮らしの準備として、簡単に食べられる野菜や簡単な料理についてお話ししています。

 自炊する選手の悩みは「野菜がなかなか食べられない」「レタスや白菜を1玉買っても食べられず、腐ってしまう」「疲れすぎて、料理したくない。炒め物ばかりになる」が大半です。

手でちぎって、洗ってそのまま

 野菜を食べるのは難しいと言いますが、レタスやキャベツは洗って手でちぎればサラダにできますし、トマト、キュウリは洗ってそのまま食べられます。疲れていて、忙しくて、どうしても仕方がない時でも、そういったことで野菜を摂ろうと選手に伝えたことがあるのです。

 初めての1人暮らしで週5回の練習、朝練、土日は試合といったスケジュールに、その選手は少し手抜きをしたかったのでしょう。お母さまに「伝えたことをしっかり守っている」とお話ししたところ、「そういうことだったんですね」と笑いながら、納得されていました。

 包丁を使わず、簡単に食べられる野菜は、レタス、キャベツ、ベビーリーフ、サラダホウレン草、トマト、ミニトマトなど。スイートコーン、アスパラ缶などの缶詰類やブロッコリーなどの冷凍野菜類なども包丁を使いません。また、調理をあまり必要としないタンパク質を含む食品としては、ツナ缶、ミックスビーンズ、チーズ、シラス干し、ハム、牛乳、乳製品があります。時間がない時でもこれらを使って工夫すると、簡単に野菜の種類を増やしたり、タンパク質やその他の栄養素を加えたりすることができます。

 特に夏は発汗により、身体からナトリウム、カリウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルが失われます。ミネラルが不足すると足がつる、けいれんするなどの症状が出てくるため、パフォーマンスの低下につながります。

 野菜や果物には水分だけでなく、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。茹でたり、長い時間水にさらすとカリウム、ビタミンは水に流れて少なくなりますが、生野菜はしっかりとカリウムを摂取することができます。

1玉買って余ったら作り置き甘酢漬け

包丁いらずの簡単野菜サラダ
包丁いらずの簡単野菜サラダ

 手軽に食べられる野菜の1つ、紫キャベツにはアントシアニンという抗酸化作用がある成分が含まれています。サラダを作るときは、レタスのみではなく、紫キャベツやトマト、ベビーリーフ、ミックスビーンズなどを加えると彩りだけでなく、栄養価もアップします。レタスに少し手を加えた「包丁いらずの簡単野菜サラダ」を紹介します。

紫キャベツの甘酢漬け
紫キャベツの甘酢漬け

 また、レタスや紫キャベツなどを1玉もしくは半玉買っても全部食べ切れない場合、調味酢を使用した「紫キャベツの甘酢漬け」を作ってみましょう。冷蔵保存できるので、とても便利です。