秋までがシーズンとなる競技は試合期が終わり、来季に向けて体をしっかりと作る鍛錬期(オフ期)に入ります。この時期、高校生アスリートからよく質問されるのが「プロテインについて」です。

・プロテインはどのようなものなのか
・どんなのものを使えはいいのか
・そもそもプロテインはとっていいのか、悪いのか
・とるならどんなものが良いのか
・おいしいのか
・飲めるのか
・○○選手が紹介している! 自分もこれを使えば良いのか

今では多くの企業が様々な製品を販売しているため何を選べば良いのか、そもそも使用するべきなのか、という質問が寄せられます。そんなプロテイン初心者のために、基本的な種類について説明をします。

ホエイ、カゼイン、ソイの3種類

プロテインとは、英語でProtein、つまりタンパク質のことです。しかし日本では、タンパク質を摂るサプリメントととらえている方が多いようです。

プロテインには大きく分けて、ホエイプロテイン、カゼインプロテイン、ソイプロテインの3種類があります。ホエイプロテインとカゼインプロテインは牛乳由来の動物性タンパク質、ソイプロテインは大豆(Soy)由来の植物性タンパク質です。

牛乳に含まれている割合は約20%がホエイ、約80%がカゼインです。ヨーグルトを水切りすると、ホエイとカゼインを分けることができます。薄い黄色の透明な液体がホエイで、乳清とも呼ばれるもの。ヨーグルトからホエイを取り除いた固形分にカゼインが含まれています。その中からそれぞれタンパク質を抽出し、パウダー状にしたものが、市販されているサプリメントのプロテインとなります。

それぞれの特徴やおすすめの用途

それぞれの特徴を見ていきましょう。

ホエイプロテイン
・水に溶けやすいので吸収が早い。
・タンパク質だけでなく、脂質、ビタミン、ミネラルなども含まれている。
・筋肉の合成に有効な必須アミノ酸やタンパク質の分解を抑制、エネルギーになりやすい分岐鎖アミノ酸(BCAA)が豊富で、練習後やトレーニング後におすすめ。
・種類も多く、多くのスポーツ選手に愛用されている

カゼインプロテイン
・胃酸で固まるため、ゆっくり吸収されるという特徴があり、長時間、筋肉にアミノ酸を届けることが可能。
・就寝前に摂取するのがおすすめ。
・牛乳由来で主成分が同じながら、ホエイプロテインに比べるとBCAAの含有量が少ない。

ホエイもカゼインも牛乳・乳製品を原料としているため、牛乳や乳製品のアレルギーがある方は使用することができません。

ソイプロテイン
・ホエイプロテインに比べて吸収が遅い。
・腹持ちが良いため、筋肉をつけるという目的だけでなく、間食を防ぎたい人や減量中の人にもおすすめ。
・就寝の2時間前や日中の間食にむいている。
・大豆に含まれるイソフラボンの効果も期待。

大豆を原料としていますので、大豆アレルギーの方は使用することができません。

「基本の食事」を整え、過剰摂取に注意

このように「プロテイン」にはそれぞれ特徴があり、目的や用途によっても違いがあります。「みんなが飲んでいるから」や「何となく」ではなく、自分の体に入るものはしっかりと理解し、自分に合ったものを使いましょう。

もちろん、アスリートの基本の食事を整えた上で使用するのが大前提です。食事がしっかりとれていれば、市販品を使わなくてもタンパク質は十分に足りているでしょうし、逆に過剰摂取で体調不良になることもあります。食事をおろそかにして市販のプロテインに頼ることのないよう、今一度食生活を見直して、鍛錬期を過ごしてください。

今回は、動物性と植物性のタンパク質が一皿で摂れる「ミルク麻婆豆腐」を紹介します。牛乳を使用した白い麻婆豆腐はとてもまろやかな味わいです。豆板醤を加えているため、少しピリッと辛みは感じます。辛みが苦手な方は、豆板醤の量を調整してください。

管理栄養士・舘川美貴子