スポーツ選手は、身長や体格についてとても気になりますよね。特に「身長を伸ばす」ことには大きな興味があると思います。今回は身長に関わる骨の役割についてお話をしたいと思います。

骨への意識を高めて

身長を伸ばすことは骨を伸ばすことですが、それ以外、骨に関心があまりない選手も多いようです。筋肉は、日頃からトレーニングして鍛えたり、ストレッチやリラクゼーションで体をケアしたりする時に見る機会が多いものの、骨は身体の中心にあって目で見る機会がほとんどありません。そのため、「骨は身体を支えているもの」という程度に思っていませんか? 

実は骨は、思っている以上に多くの重要な役割を担っています。ということは、たとえ身長が希望通りの高さにならなくても、スポーツを続けていく上で、骨の健康について考える必要があるのです。

骨の持つ重要な役割

それでは骨の役割を説明していきます。

身体を支える
骨は身体を支えています。足や腰の骨折などの骨トラブルによって、高齢者では大きな骨、大腿骨や腰椎を骨折し、介護が必要になることもあります。アスリートでも骨折により、競技復帰が遅れたり、度重なる骨折やケガのため競技を続けることが出来なくなったりすることもありますね。また、足の指の骨など小さな骨が脆弱性により折れること(疲労骨折)も見られます。

身体を運動させる
骨の連結部分が、支点、力点、作用点となって、骨に付着している筋肉が伸びたり縮んだりして、身体や各部位が動きます。

内臓を守る
内臓は衝撃に弱いものです。骨はつながったり、いくつか組み合わさったりして、衝撃に弱い器官(脳や内臓)を守っています。例えば、頭がい骨は脳、肋骨は肺や心臓、背骨は脊椎神経といったように、重要な臓器等を硬い骨で衝撃からしっかり守っています。

血液(血球)をつくる
骨の中心部にある骨髄には血液の原料となる造血幹細胞が存在し、赤血球、白血球、血小板が作られています。骨があるからこそ、血液が作られます。

カルシウムやリンを貯蔵する
骨にはカルシウムの貯蔵庫の役割もあります。体内のカルシウムの99%が骨に、残りの1%が血液に存在し、血中のカルシウム濃度が低くなると骨からカルシウムを補給します。血液中のカルシウムやリンの量が不足してくると、副甲状腺ホルモンなどの作用によって、骨にたくわえられているカルシウムやリンが血液中に放出される仕組みになっています。

このように、私たちが生きていくために骨は強く、健康であることが大切です。そのことを頭に入れて、骨の材料となる栄養素もしっかり摂っていきましょう。

今回は、カルシウムを多く含んだ厚揚げ、小松菜を使った「カルシウムたっぷり厚揚げと小松菜の炒め物」を紹介します。

「カルシウムといえば乳製品」と思われがちですが、大豆加工品や葉物野菜にも多く含まれています。大豆加工品の中でも厚揚げは、木綿豆腐と比べてカルシウムは2倍以上、鉄は約4.3倍も含まれています。色々な食品からカルシウムを摂っていくことも意識しましょう。

管理栄養士・舘川美貴子