「アスリートはやっぱり鶏肉ですよね?」と、選手たちからよく聞かれます。鶏肉は牛肉や豚肉に比べると、低エネルギー、低脂肪、高タンパク質な食材として、アスリートに人気が高い食品です。

しかし、一概に「鶏肉」と言っても、部位によってエネルギーや脂質の量、栄養価が違います。今回は鶏肉の部位別の特徴をお伝えしていきます。

実は脂質の多い部位も

鶏肉は比較的、肉の臭みがありません。皮に脂質が多く含まれているので、同じ部位でも皮つきと皮なしではエネルギーや脂質に差が出ます。「タンパク質を摂取するつもりで鶏肉を食べていたのに、実は脂質を多く摂っていた」ということも考えられるので、部位選びには注意しましょう。

下記の図で鶏肉の各部位の栄養価を見ていきましょう。

手羽(手羽先・手羽中・手羽元)

コラーゲンを多く含んでおり、皮膚を丈夫にするビタミンAも豊富に含まれています。脂質が多い反面、タンパク質はやや少なく、肉質は柔らかくコクがあります。手羽先の唐揚げや煮込みなどによく使われます。

むね肉

高タンパク質、低エネルギー、低脂質で、体の代謝を助けるビタミンB6も多く含まれています。抗酸化作用や疲労回復に効果があると言われるイミダゾールジペプチド(イミダペプチド)や、活動ホルモンや良い睡眠を得るために必要なセロトニンを作る材料であるトリプトファンも多く含まれています。

なお、ビタミンB群やイミダゾールジペプチドは水溶性の成分となるため、ゆでたり、煮たりする場合は、汁、スープごといただくと栄養素を逃すことがありません。低脂質なので、あっさりとした蒸し鶏、鶏ハムなどに良く使われますし、サラダチキンにも良く使われる部位です。

もも肉

ささみやむね肉と比べるとタンパク質が少なめで、エネルギーや脂質が多いのが特徴。皮つきになると、エネルギーや脂質はさらに高くなります。また、ビタミンB2は脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生に役立ちます。

肉質は脂質が多い分、火を通しても柔らかくジューシーで味にコクがあります。唐揚げや焼き鳥、照り焼き、煮物など幅広い料理に使われます。

ささみ

ささみは、鶏肉の中で一番タンパク質が多く含まれている部位です。脂質やエネルギーはもも肉の皮つき、手羽肉と比べると半分ほどのため、「ダイエット向き」とも言われています。また、むね肉同様、ビタミンB6を多く含んでいます。肉の臭みは少なく、パサついたり、硬かったりする印象がありますが、サラダチキンやフライなどに調理されます。

このように鶏肉には部位によって特徴があるので、目的とする栄養素や料理、味わいを参考に選び分けてください。

今回は「鶏むね肉とレンコン入りハッシュドポテト」を紹介します。少し硬めのお肉もレンコン、ジャガイモと一緒に調理すると、柔らかくおいしくいただけます。

肉と野菜が一緒にとれるおかずとして、お弁当の一品としてもおいしくいただけます。“しゃきほく感”もお楽しみください。

管理栄養士・舘川美貴子