「『冷えたご飯は太らない』と聞いたけど、食べるなら温かいご飯より冷たい方が良いのかな?」
女子選手からの質問です。この選手が減量したいのか、減量が必要なのかも気になりますが、今回は冷えたご飯と温かいご飯の違い、「レジスタントスターチ」ついてお話ししていきましょう。
消化されないでんぷんで便秘解消、血糖上昇抑制
レジスタントスターチは、「レジスタント=体内で消化されない」「スターチ=でんぷん」という意味で、消化酵素で分解されず、大腸まで届く難消化性でんぷんのことです。本来、でんぷんは小腸で消化、吸収され、体のエネルギー源となりますが、レジスタントスターチはでんぷんなのに消化されないため、お通じの改善や血糖と血中コレステロールの上昇抑制、空腹感の抑制などもあり、太りにくいと考えられているようです。
でんぷんの性質を見てみましょう。でんぷんは水分を加えて加熱すると、でんぷん分子の結合が切断されて間に水分子が入り込み、ゲル状になります。これを「糊化」と言います。炊いたご飯、茹でうどん、焼いたパンなどは糊化した状態です(α化)。糊化した状態では消化酵素に分解されやすくなり、消化の良い状態になります。
一方で、糊化したでんぷんは時間が経過すると、切断されたでんぷん分子が再び結合して水分が抜け、粘りがなくなり、硬くなって老化します(β化)。冷たくなったご飯がこれにあたります。老化したでんぷんは難消化となり、レジスタントスターチとなります。
難消化でんぷんのとり過ぎで消化不良も
冷めたご飯はレジスタントスターチが増えるため、温かいご飯に比べて血糖値の上昇が緩やかになります。ご飯だけでなく、他のでんぷんを含む食材も同じです。パンやサンドイッチもトースターで焼かず、そばやうどんも冷たい方がレジスタントスターチが増えるため、血糖値の上昇が緩やかになります。
ただし、糊化したでんぷんを一度にたくさん取りすぎると、消化不良を起こす可能性があります。ストレスや体調不良などで消化管の機能が低下しているときは注意が必要です。
これらのことを選手に説明すると、「レジスタントスターチのことは聞いたことがなかった。冷たいご飯が太りにくいのは魅力的だけど、いつも冷たいのは嫌かも。今は冬で寒いし。でも、冷たくてもおいしいご飯やおにぎりだったらいいよね」と言っていました。消化が良いのは温かいご飯です。冷たいご飯を食べる際は、「大量に食べると消化不良を起こしやすい」ことも頭に入れて活用していきましょう。
最近は冷えてもおいしいお米も開発されています。そのお米の1つ、私の地元富山のお米「富富富(ふふふ)」を使用した「大豆とおかかのおにぎり」を紹介します。
「富富富」は平成30年から販売されている富山県産のブランド米です。草丈が短く稲が倒れることも少なくなり、収穫量が安定。高温にも強く米の病気にも強い品種で、農薬量も減らすことができたお米です。また、炊飯すると、冷めても硬くなりにくく、時間が経っても粒がきれいなのが特徴です。また、あっさりとしていてどんな料理にも合います(富山県ホームページより)。
タンパク質豊富な大豆とうま味たっぷりのかつお節は練習後、試合後の補食にピッタリです。ぜひ、お召し上がりください。おにぎりの具は温かいご飯の上にかけてもおいしくいただけます。