「ゼラチンはタンパク質からできているらしいよ」

ある選手が家庭科の授業で習ってきたようです。

「えっ? じゃあ、ゼリー食べたらタンパク質がとれるの?」
「ゼリー食べた方が良くない?」

それを聞いた仲間の選手たちが、手軽に食べられるお菓子のゼリーにタンパク質が含まれていることを喜んでいます。

ゼリーに使われる量はごくわずか

確かにゼラチンの原料は牛骨、牛皮、豚皮、魚鱗、魚皮からできており、動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンというタンパク質から作られています。コラーゲンの構造はらせん状の細長い分子が3本より合わさった三重らせんのような形をしています。このコラーゲン分子に熱をかけ、3本バラバラの状態になったものをゼラチンと呼びます。

ゼラチンのタンパク質量は、100gあたり87.6gと多く含まれていますが、実際にゼリーなどに使用する量はごくわずかです。水分100mlに対して使うゼラチンは2~3gなので、タンパク質量は1.8g~2.6gとなります。

タンパク質源と組み合わせるのがおすすめ

また、ゼラチンは必須アミノ酸のトリプトファンを含んでおらず、アミノ酸スコアも0となるため、アミノ酸スコアの高い食品と組み合わせることも良いでしょう。例えば、牛乳や豆乳などのタンパク質源と組み合わせ、牛乳ゼリーや豆乳ゼリーにすることをお勧めします。

ゼリーとして売られている商品も、固める(ゲル化)材料にゼラチン以外のものを使っている場合もあります。アガーやカラギナンなどを使っている場合、必ずしもタンパク質が多くとれるとは限らないので、成分表示を確認しましょう。

食品の原材料に注目し、栄養素と結びつけることはとても大切です。ゼラチンからゼリーを作る場合は「少しタンパク質がとれるかな」と覚えておきましょう。

これから暑い夏を迎えます。食欲の落ちる季節には喉越しの良い冷たいゼリーなどはとても食べやすいものです。今回は、タンパク質もいっしょにとれる「豆乳プリン小豆あん添え」を紹介します。

市販のゼラチンの中には、事前に水でふやかす必要のないものも売っているので、時間のない場合はそちらを使用することもできます。朝食、昼食、練習後の補食などにもぴったりですね。

管理栄養士・舘川美貴子