<精肉:近江屋牛肉店(上)>
今回は築地東通りにある肉の専門店「近江屋牛肉店」へ。創業87年。牛肉店というものの、豚肉なども扱っています。
普段、スーパーでパック入り肉を購入する私にとって専門店は敷居が高く、何をどう買えばいいのか、悩んでしまいます。肉の基本と専門店との付き合い方を、寺出昌弘社長(52)が教えてくれました。
①部位の特徴を知る
肉には旬がないので、選ぶポイントは部位だといいます。覚え方としては「動かすところは肉質が固い。だけど、味があるから煮込むとおいしい」。なるほど、肩やすねはシチューなどの煮込み料理には適していますが、炒め物には使いませんものね。
②何の料理をいつ、誰のために作るのかを伝える
要望、用途によって、より適した肉を選んでくれるのが専門店。「おいしく食べていただくアドバイスをします」。オススメ肉を使って、料理がグレードアップしたり、レパートリーを増やしたりできるかもしれません。常連になれば、同じ部位でもよりいい部分を購入できる“特典”もあるといいます。
「しゃぶしゃぶ用」は表示上の区分け
スーパーのパックにはよく、「しゃぶしゃぶ用」「ステーキ用」などと表示されていますが、実際は違う料理に使ってしまい、猛烈な罪悪感に襲われることがありますが、寺出社長によると「あれは表示上の区分けで特に意味がない」。まんまとダマされた気分です。
ある大手スーパーでは、1ミリ=しゃぶしゃぶ、2~3ミリ=すき焼き、4~5ミリ=焼き肉、1センチ=ステーキなどと表示上分けているだけで、どう使うかは自由だといいます。
A5がうまいとは限らない
また、最高級の牛肉はA5ランクという格付けがされますが、これも寺出社長にしてみれば「業者のランク付け」。霜降りでなく赤身が好きな人がいるように、好みは人それぞれ。ブランド名で値段が高ければいい肉、というわけではありません。その人の好みに応じ、プロが見極めた風味豊かな肉こそ、おいしい肉といえます。
この日は特別に、ショーケースに並んでいない「幻の肉」を見せてもらいました。A5ランク和牛肩肉の冷凍肉で脂肪が少なく、煮込みにもステーキにも使える高級肉です。
肉の世界は奥が深く、これまでの常識がことごとく覆されました。幻の肉を勧められる築地のプロになるには、まだまだ時間がかかりそうです。
今回は牛肉を使ったレシピ「野菜の牛肉巻き」を紹介します。
部位によって食べ方は異なりますが、牛肉は身が軟らかく火の通りが早いため、加熱しすぎると固くなるので注意しましょう。
タンパク質が豊富で、特に赤身の部位には鉄分が多く含まれます。牛肉に多く含まれる鉄分は、ヘム鉄と呼ばれるもので、これは植物性食品に含まれる非ヘム鉄と比較すると吸収力が早く、また動物性タンパク質と同時に摂取すると、さらに吸収力を高めます。
DNAやタンパク質合成に関与する亜鉛も多く、成長期や筋肉をつけたいアスリートには特に必要です。不足すると味覚障害、免疫力を低下につながります。
また、エネルギーの代謝に必要な補酵素であるビタミンB群(B2、B6、B12)も多く含んでいます。B2は脂質の代謝、細胞の再生に関与しており、成長期に不足すると成長障害が起こります。成長期、運動時には積極的にとりたい食材です。
住所:東京都中央区築地4丁目14-1
電話番号:03-3541-7398
営業時間:6:00~14:30
休業日:日曜、祝日、市場休市日