<鯨の登美粋(下)>
クジラには、疲労回復に効果をもたらす「バレニン」という成分が含まれていると、「前回のコラム」でお伝えしました。では、クジラ肉をどこで買えばいいのか。実際のところ、近所のスーパーで置いているところは少ないので、登美粋のような専門店や捕鯨地区の漁港での購入、お取り寄せなどが主になります。
捕獲数が決まっているクジラには、適正価格があります。築地の仲卸直営の登美粋では「考えられる最安値」(松本宏一代表=47)で提供していますが、単に安いものを購入してしまうと、臭みがあったり、味が悪かったりするので、ご注意を。
一時期、学校給食から姿を消したクジラ肉ですが、高タンパク、低脂肪と栄養価の高さから、再び献立に採用する地域も増えたとか。脂肪分は鶏ささみの約半分という超ヘルシーフード。「日本の食文化」に興味を持つ海外の旅行客も増え、最近では全体の2割を占めるほどになったそうです。
そんなクジラ。身体が大きいですから食べられる部分が多く、部位も豊富です。ざっくり言うと、さえずり(舌)、鹿子(かのこ=ほほ)、畝須(うねす=胸)、ハツ(心臓)、赤肉、本皮、百畳(ひゃくじょう=胃)、百尋(ひゃくひろ=小腸)、尾肉、さらし(尾)など。
この中で、最もポピュラーなのが赤肉。刺身のほか、焼き物や揚げ物など調理のアレンジが利き、高タンパク、低脂肪でバレニンを含み、鉄分も豊富なため、貧血予防にも役立ちます。
うねすは胸から腹部まで続く、じゃばら状の外皮の部位で、ベーコンの原料とされます。コラーゲンの含有量が28%と多く。美肌効果はもちろん、関節強化などアスリートにもうれしい食材。EPA、DHA、DPAを含む不飽和脂肪酸(オメガ3)も豊富で、血流の改善につながると言われています。
さらしは尾羽とも呼ばれる伝統食材。熱湯をかけて脂肪分を除いた上で冷水にさらし、酢味噌や梅肉で食べる珍味で、関西などではスーパーでもよく売られているようです。ぷるぷるとした食感で、あっさり食べられるダイエットフードです。
登美粋には、こんな部位をふんだんに使い、存分に楽しめる夜のコース(4000円~、要予約、飲み物別)があります。「クジラには無限の可能性がある。私たちの使命は、それを知らしめること」と、小泉澄子料理長(46)が腕によりをかけた独創的な料理を堪能できます。
クジラの世界はとても奥が深く、まだまだ知らないことがいっぱいですが、このパワーフードを上手に、日頃の食生活に取り入れられたら、もっと楽しみが広がりそうです。
登美粋には、クジラに合うお酒も揃っています。日本酒ナビゲーターの資格を持つソプラノ歌手、泉萌子さんがスタッフ入りしたことで、東京では珍しい日本酒の数々を調達できるようになったといいます。お父さん、お母さんの明日の活力に、クジラ+日本酒パワーを味わってみては?
住所:東京都中央区築地4-10-17
TEL&FAX:03-6278-8194(平日10:00~14:00)
営業時間:10:00~14:00
定休日:毎週木曜日、1月1日~4日