<煮干し:川名商店>
今回はこの築地で店を構えて80年近くという海産物問屋「川名商店」に伺いました。
「カタクチイワシを新鮮なうちに煮て干したものが煮干し。味付けは一切せず、添加物なども使用していないから、お子さまのおやつとして食べても安心ですよ」と話してくれたのは、3代目店主の川名英夫さん。奥様の恵子さんと2人で切り盛りする店には、煮干しのほか昆布、スルメ、生ワカメ、サクラエビなどが並びます。
そんな煮干しのエキスパートの川名さんに、家庭でできる美味しい煮干しだしのとり方を聞きました。
「まずはよい煮干しを選ぶことです」と川名さん。「よい煮干しは、脂分がなく、カサカサと音がたつくらい乾燥しています。また、お腹が割れていないこともポイントの1つ。よく、腹部分が割れてしまって空洞になっているものがありますよね、これはイワシ自体の鮮度が悪かった証拠なんです。基本的には価格と味は比例します。脂分が多く、赤みがかった手頃なものは、濃くて強いだしがとれるので、ラーメン屋さんに好まれます」。
とにかく家庭では、カサカサと乾燥し、銀白に光るくらいのきれいな煮干しを選ぶことが、だし作りのポイントだと教わりました。
そんないい煮干しを選べば、頭やはらわたを取りのぞく必要はなく、上品でコクのあるだしがとれるといいます。
さて、そんな上質の煮干しを選んだら、さっそく煮干しのだしをとってみましょう。作り方も教えていただきました。
★おいしい煮干しだしの作り方(3~4人分)★
①煮干し(20~25グラム)をサッと洗い、水(700~800ml)を入れて強火で煮出す。
②沸騰したら弱火にし、15分くらい弱火のままで煮る。
③煮干しのだしの色が出てきたら、煮干しを取りだす。
この手順で、美味しい煮干しだしの出来上がりです。
煮干しだしは、味噌汁、煮物など、万能に使えます。とくに、市販の生タイプのラーメンを作る際、付属のスープをこの煮干しだしで割るだけで、格段と味がアップするのだとか。
また、奥様の恵子さんにご自宅でよく作るレシピを簡単に教えていただきました。
「小さめのカエリ煮干しは、料理に万能に使える煮干しで、よいだしが出るんですよ。とくに根菜類の煮物との相性がバツグンです。スライスタマネギとお酢とあえるだけで、おいしいマリネができるし、かき揚げにもよく合うんです」。
▼管理栄養士・今井久美のコメント
煮干しそのものには、アスリートに必要なタンパク質や脂質、カルシウムや鉄、マグネシウムを多く含みます。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、タンパク質や脂質の代謝を促進し、貧血予防にもなるビタミンB12を多く含むため、アスリートにはおやつとしてそのまま食べることをお奨めします。砂糖やゴマ、ナッツ類と炒った田作り風のおやつにすると、子どもも好んで食べてくれると思います。
またミルなどで粉状にし、ふりかけや炒め物に入れるのも良いでしょう。
そのままでは固くて食べにくい場合は、オリーブオイルに漬けておいてから使用したり、だしをとった後の煮干しを、煮物などの料理の具材として使用したりすることもおすすめです。たくさん食べる場合は、食塩無添加のタイプがおすすめです。
住所:東京都中央区築地4丁目10-4
電話:03-3541-6186
営業時間:5:00~14:00
休業日:日曜、祝祭日
HP:http://tsukiji.or.jp/search/shoplist/cat-e/cat-18/173.html