<かつお節:鰹節伏高>

 年末年始は年越しそば、おせち料理やお雑煮など、いつもよりだしを使う機会が増えます。だしと言えば、かつお節。ということで、かつお節をはじめ昆布、煮干しなど100種類以上の“海のだし”を扱う築地場外の「鰹節伏高(ふしたか)」の3代目店主、中野克彦さんにかつお節について聞きました。

「鰹節伏高」の3代目店主・中野克彦さん
「鰹節伏高」の3代目店主・中野克彦さん

かつお節やだしのアレコレ

だしの種類って?
 一般的に「仕上げ節」「削り節」「だしパック」「顆粒だし」があります。

だしの種類
だしの種類

 かつお節とパックや顆粒との一番の違いは香りです。パックや顆粒だしは手間がかかりませんが、香りはかつお節の方が上。かつお節でも、削り器が必要な「仕上節」は、香りは高いものの手間がかかるので、いわゆる“花かつお”と呼ばれる「削り節」が一番使い勝手がよいでしょう。

「削り節」の種類
 形状の違いによって「薄削り」「厚削り」「粉」「糸削り」「破砕」があります。

 薄削りは厚さ0.03~0.07ミリの「花かつお」が幅広く使われています。

薄い

 厚削りは1ミリ前後に削ってあるもので、弱火で40分程度煮出す必要があり、東日本のそば店でよく使われています。

エトキ

 削り節を粉状にした「粉」は、料理に混ぜたり、かけたりして使います。

エトキ

 糸状に削ったのが「糸削り」。おひたしの上にのせると味だけでなく、見た目もきれいに仕上がります。

えとき

 削り節を細かく刻んだのが「破砕」。スーパーなどで「かつおパック」として売られている5グラム程度の小袋に分けられたものがこれです。

エトキ

だしパックや顆粒だしは?
 顆粒だしやだしパックの原材料名に書かれている「調味料(アミノ酸等)/酵母エキス/たんぱく加水分解物」などは、全てかつお節や昆布の味を人工的に作ったもの。その味に慣れてしまうと、天然のだしを薄いと感じてしまい、本来の味が分からなくなってしまうこともあります。だしパックにも酵母エキスやたんぱく加水分解物が入っている商品もあるので、原材料をチェックすることをおすすめします。

東と西で好みが違う?
 どの料理にも、人それぞれの「好み」があると思いますが、特にだしに関しては、出身が東日本か西日本かで好みが分かれます。東日本の人は、かつおだしと濃口しょうゆがベースのしっかりした味付けを好み、西日本の人はかつお節の風味に加え、昆布と薄口しょうゆの味を好む傾向があります。

 「今は便利な商品が増え、簡単にだしをとれるようになりましたが、手間をかけるとおいしさも増します。天然のかつお節でだしをとると、調味料の量を減らせ、塩分控え目になるため、子どもから年配の方までうれしいですよね。味わいも豊かになるので、年末年始はぜひ、丁寧にだしをとってみてください」と中野さんは付け加えました。

 次回は、年末年始にも使える基本のだし“1.5番だし”を伝授してもらいます。【アスレシピ編集部】

スポーツ界でも話題のアミノ酸が豊富

 管理栄養士の今井久美さんに、かつお節の栄養面について聞きました。
 「かつお節は、生のかつおの栄養素がギュッと濃縮されています。タンパク質、EPA、DHA、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、貧血の予防・改善に必要な鉄や銅、骨の強化に必要なマグネシウムといったミネラルを多く含んでいます。また、スポーツの分野で話題となっているアミノ酸も含まれています。筋肉の増強や損傷の修復に不可欠なアルギニン、筋肉の合成促進と分解抑制などの働きがあるグルタミン、肝臓で血液中のアミノ酸からブドウ糖を作り出すアラニン、プロリンといったアミノ酸です。激しい運動によって多くのエネルギーを必要とし、紫外線や呼吸数の増加により酸化しやすく、筋肉や骨を増強する必要のあるアスリートには有効な成分がたくさん詰まっているのです」。

かつお節を使ったおすすめレシピ

◆胃腸が弱る年末年始におすすめ「豆腐入りヤマイモ鉄板」

滋養強壮の薬「ヤマイモ」を使った居酒屋メニュー
滋養強壮の薬「ヤマイモ」を使った居酒屋メニュー

◆冷蔵庫の常備食材で作れる「納豆チーズオムレツ」

◆お弁当や補食に「梅おかか焼きおにぎり」

鰹節伏高

住所:東京都中央区築地6丁目27-2
電話:03-3541-0918
営業時間:6:00~14:00
休業日:日曜、祝日
HP:http://fushitaka.com

※「だしの種類」「削り節の種類」の画像は鰹節伏高の提供画像です。