新しくママ特派員に加わった入江慶子さん(東京都墨田区)は、息子さんの食が極端に細く、悩んだそうです。全国大会を目指すサッカー部で頑張る息子さんの現在に至るまでのお話です。

名門サッカー部で全国目指す

 高校2年生の息子は、かつて全国選手権を何度も制し、数多くのJリーガーを輩出している名門校のサッカー部に所属し、日々練習に励んでいます。

 ポジションはMF。今では1日5時間の練習に耐えられる量をしっかりと食べられるようになりましたが、中学2年生までは食への興味が全くなく、幼児茶碗1杯のご飯しか食べられないような食の細い子でした。

 当然身体も小さく、私もどうやって食べさせようか悩み、試行錯誤してきましたが、焦らずじっくり構えることも大切と、今では振り返ることができるようになりました。

小学6年生のころ、ユニフォームが大きすぎてダボダボ状態
小学6年生のころ、ユニフォームが大きすぎてダボダボ状態

生まれたときから小食だった

 生後3カ月で母乳も粉ミルクも飲まなくなり、無理やり飲ませては吐くことを繰り返しました。成長曲線はいつも平均をかなり下回る状態で、検診などでは「ちゃんと食べさせていますか?」などと言われ、真剣に悩む日々。食べない息子にイライラし、食事の時は見張るかのように目の前に座り、怖い顔で説教しながら食べさせたこともあります。

 5歳でサッカーを始めましたが、大勢集まると埋もれてしまい、どこにいるか分からなくなるほどの体格差がありました。小学2年生の時には身体の大きい子から「お前はチビで下手だからボールを触るな」と言われたほど。今では笑い話ですが、当時の息子はとてもショックを受けたようで、「絶対に大きくなって追い越してやる」と泣きながら誓っていました。

息子のために…独学で勉強

 その頃から私は、「少しでも息子のためになれば」と独学でスポーツ栄養を学びだし、食事のタイミングや食べる量、栄養を気にするようになりました。

 中学ではクラブチームに所属。当初は身長、体重ともにチーム1、2位を争う小ささでしたが、スポーツ栄養を学ぶうちに、「今は小さくても栄養をしっかり摂っていたら、身体はいつか大きくなるだろう」と考えられるようになっていたので、補食も含め1日4、5食ほど、こまめに食べさせるようにしました。

 さらに本格的に勉強を進めていくと、小食でも効率よく栄養を吸収する方法、ここぞという場面でパフォーマンスを発揮できる食事など“目から鱗”の連続。家庭での食事は和食中心に切り替え、忙しくても手作りにこだわるようにしました。

具だくさん汁物と補食でカバー

 中学2年に入ってから少しずつですが、息子の「食」に対する意識が変化していきました。

 周りとどんどん体格差が出てきていることに焦りを感じて、本人も「もっと大きくなりたい!強くなりたい」と願うようになり、そのためには「食べることが大切」だと自分で理解し、取り組んでくれるようになったのです。

 ただ、量をいきなり増やすことは難しいので、まずは、具だくさんの汁物(味噌汁やスープ)を毎食出し、いろいろな食材を食べさせ、量を増やしていきました。寒い時はこれをポットに入れて補食として持たせるようにもしました。

 また、お弁当とは別に、2~3個の小さめのおにぎりや海苔巻き、米粉のおやつなど、手軽にちょこちょこ食べられるような補食を持たせ、1回でたくさん食べるのではなく、回数を増やすことで、結果的に1日の量を多く食べさせるように心がけました。そして、毎日必ずフルーツとプチトマトを欠かさないようにしました。

 息子も自主的に朝食はパンからご飯を食べるようになり、飲み物もジュースや紅茶類から、水やお茶、100%のジュースを飲むようになりました。今では、お腹が空いたときは、ファストフードやコンビニではなく、蕎麦店を利用しています。

 こんな日常の些細なことですが、この年代の男子としては頑張った方だと思います。

 本人の意識が変わった時期と成長期が重なったのでしょうか。3年生の1年間で15センチほど伸び、体格もしっかりしてきました。

中学生の時、小さくともちゃんと評価をしてくれる人に出会えたことも幸運でした
中学生の時、小さくともちゃんと評価をしてくれる人に出会えたことも幸運でした

本人の意識が変わり、体格も大きく

 息子は、今でも大柄の体格ではありません。華やかな経歴もなく挫折だらけですが、周りの状況を見て即座に判断し、ゲームを動かすことが得意なようで、長所を生かして努力しています。息子を評価し、指導してくれる人たちの支えがあったからこそ、今でもサッカーを頑張れているのだと思います。

 私が今できることは「食」の部分のサポート。食に興味のなかった息子が、「食べることの大切さ」に気付いてくれたことは、とてもうれしいものでした。プレーについては見守り、そっと応援しようと決めています。ママ特派員として、皆さんと悩みを共有し、さらに勉強できたらと思っています。

入江慶子(東京都墨田区在住)

スポーツ栄養コンディショニングアドバイザー。
一般社団法人クラブディポルディーボエスペランサ理事。
都内名門校のサッカー部に所属する高校2年生男子のママ。