<キッチンは実験室(4・下):パンが膨らむ理由を探せ>

 みなさん、こんにちは。キッチンの科学プロジェクト(KKP)の「みせす」です。前回はパンが膨らむ理由を説明しましたが、引き続きグルテンのお話を続けましょう(参考:「パンが膨らむ理由を探せ!グルテンガムと発酵の原理」)。

 グルテンガムのワークショップをすると、子どもたちはこんな反応をしてくれます。

・最初べたべたしたけど、がんばってこねたらまとまってきてうれしかった。
・とってもふくらんでびっくりした。
・ただ作るだけではなく、楽しい話や実験があって、パンがうまくできてよかった。
・家でもやりたい。今度はおじいちゃんに作ってあげたい。

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 パン作りは時間もかかり、大人でも失敗がつきもの。だからこそ、子どもたちにとって作り上げた喜びと達成感はひとしおです。触る、発酵の香りをかぐ、色合いを見る、聞く、味わう。そんな五感をフルに味わうことができるのが、パン作りだと思っています。

 最近、「グルテンフリー」という言葉をよく聞きますが、グルテンはふわふわしたパンのおいしさを支えたり、貴重な植物タンパク質として私たちの体の素となったりしています。アレルギーがある方はともかく、過敏に反応する必要はないのではないでしょうか。

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 また、小麦には水溶性食物繊維も含まれているため、パンは炭水化物として私たちの動くエネルギーになります。「パンは太る」と言われることもあるように、大手メーカーなどの市販の菓子パンの中には、大量の砂糖やたくさんの添加物が入っているのも確かです。とはいえ、一概にパンを否定するのではなく、上手に選んだり、最低限の材料を用いて自分で作ったパンを、おいしく食べてみませんか? この夏休み、ぜひご家庭でお試し下さい。

<家庭でできるパンレシピ>
材料
A…砂糖10g、ドライイースト2g、ぬるま湯95cc、コップ
B…強力粉150g、塩3g、ボール
C…バター5g

作り方
①コップにAを入れて混ぜる。Bを入れたボールにコップの中身を入れる。
②手で15分こねる。まとまったらバターを入れて5分こねる。
③濡れ布巾をかぶせ、電子レンジ(解凍モード)で1分温める。その後、常温で40~60分発酵させる。
④空気を抜いて分割、好きな形を作る。
⑤濡れ布巾を被せて電子レンジ(解凍モードか200w)で1分、常温で20~40分発酵させる。
⑥230℃に余熱したオーブンに入れ、210℃で15分焼く。

金子浩子

子ども向け食育ボランティア団体「キッチンの科学プロジェクト(KKP)」代表・講師
東京薬科大生命科学部卒/群馬大学大学院修士(保健学)。中・高校教諭一種免許状(理科)取得
国際薬膳師・国際薬膳調理師・中医薬膳師。キッズキッチン協会公認インストラクター。エコ・クッキングナビゲーター