<東経駅伝ブロック栄養サポート>
アスレシピのサポーターでもある管理栄養士・山﨑みどりさんが、今年度から東京経済大学(東経大)陸上競技部駅伝ブロックの食事サポートを行っています。6月24日に行われた第1回栄養セミナーの模様をレポートしてくれました。
自分で自分の健康状態を把握
東経大陸上競技部は1921年創部と歴史のある競技部です。駅伝ブロックは神屋伸行駅伝監督の下、本年度から井村光孝コーチ、椛山祐輔トレーナーを迎えて新体制となり、箱根駅伝出場を目標としています。
選手49人、マネジャー7人の大所帯で、寮が完備されています。質の良い練習をするためには、選手自身が自分の健康状態を把握する必要があるので、新たに貧血検査と脱水検査を取り入れました。どちらも駅伝選手にとって必要不可欠な検査です。
貧血検査は、指を当てるだけで測定可能な「アストリウム」という検査機を導入したので、注射のストレスがありません。3カ月に1度、ドクターが往診し、細かい貧血チェックに貯蔵鉄などの検査を行います。脱水検査も検査器を導入。尿比重測定をし、体内の水分状態を選手自身で把握。基準値に自分の数値が足りているのかどうかを考え、セルフ管理を身につけられるようにしています。
量も時間も足りない選手多数
椛山トレーナーは「運動」「食事」「休養」の3本柱を大切に考えており、その1つとして栄養セミナーを計画。第1回は「栄養の基本を知ろう!」をテーマに、寮の食堂で1時間半の講義を行いました。
寮では、管理栄養士が考えた食事が朝と夜に提供されていて、栄養素の表示もされています。しかし、ご飯の量が決まってもおらず、選手自身が何を、どれだけ食べればいいのか把握していない状態。昼食は学食やコンビニを利用しており、何となく栄養は気になるけど、どうすればいいのか分からないといった選手が大半を占めていました。
始めに、栄養素の働きを説明。次に「スポーツ・運動栄養学」を資料に、昨日食べた物を書き出させ、当てはめてもらいました。1日3000~5000kcalが必要な長距離選手たちにもかかわらず、やっと半分満たせるような結果がほとんど。身体の細い選手が多く、食事量が足りないことを理解してもらいました。
1食1000kcalを摂ろうとした場合、糖質で半分と考えると、300g(504kcal)のご飯の量が必要です。「まずはご飯を量ることから始めよう」と話し、食堂に量りを設置することを提案しました。このほか、貧血対策、骨強化対策など長距離選手にとって大事なポイントなどを伝えました。
選手はとても熱心に講義を受けていて、ケガの早期回復やサプリメントに関しての質問、相談もたくさん受けました。中には、栄養に興味があって自分で勉強したり、自炊する選手もおり、「レシピを教えてほしい」といった具体的なアドバイスを求める声もあり、今後の伸びしろを感じさせてくれました。
栄養についてのサポートは始まったばかり。10月の箱根駅伝予選会に向けて、今後もサポートが続きます。
・管理栄養士
・パーソナルトレーナー
・栄養士として病院に勤務後、病気にならないためには、を考えてスポーツクラブに就職。スポーツクラブでは、ダイエットプログラムの栄養教育などを行う。