<アスレシピ特派員紹介>
アスレシピのスタート当初から特派員を続ける稲葉祐紀子さん。徹底的に検証を重ねたレポートには、多くのファンがいます。最近では仕事の傍ら、製菓衛生士の資格取得に向けて勉強を始めるなど、ますます進化を続ける素顔に迫りました。【聞き手=アスレシピ編集部】
成長期に体重が激減、必要なエネルギーをとるために
現在大学1年の娘さん、中学1年の息子さんは、ともに小学生の頃からライフセービングを続けています。娘さんは中学で剣道部に入部。早朝にライフセービングのトレーニングをして登校、放課後には3時間ほどの部活動という2足のわらじ生活が始まると、しばらくして変化が訪れました。
「みるみる痩せてしまったんです。夏頃には頬がこけるほどになってしまい、知り合いの栄養士さんに食事のことを相談しました。すると、運動量から見たら4000kcalほどとる必要があったのに、2500kcalほどしかとれていなかったことがわかりました。そこで、さっそく食事の改善に取り組み始めました」。
足りないなら増やせばいい、と簡単にはいきません。疲れてしまうと食も進まないため、1回の食事の内容を充実させることを意識しました。
「その時に栄養士さんからアドバイスされたのは、こまめに栄養をとらせること。そこから補食も重視するようになりました」。
当時は学校へもお弁当持参。加えて、すき間時間に食べやすい補食をいろいろと持たせるようになったそうです。そうして生まれた補食レシピの数々は、アスレシピにも投稿してくれています。
食事の改善を進める中で、食べ物の効能やとるタイミングのことなども子どもたちに話してきました。
「そのせいかどうかはわかりませんが、最近は息子も『今日はこんなトレーニングをしてきたから、これを食べるといいよね』とか、『この献立には何を足すといいかな』などと話してくれるように。娘の方は、剣道の試合を通じて、どんな食事をどのタイミングでとればスタミナや集中力が持つのかを、実体験として理解できているようです。子どもたちの中にこうした食事の意識が根付いたのは良かったと思っています」。
ライフセービングを多くの人に知ってほしい
子どもたち2人が取り組むライフセービングでは、命の重みを厳しく学びます。小学生の頃は遊びを通じて海との付き合い方や自分の体の守り方を学び、中学生になると初めて人を助けることを教わります。高校生ではライフセーバーの見習いとして浜に立てるようになり、大学生になるといよいよ独り立ちかというと、そう甘くはなかったようで…。
「大学生になったら、一気に世界が変わったと言っていました。それまでも徹底して命の大切さは学んできますが、いよいよ独り立ちという年齢になると、さらに一段階重みが増したと感じたそうです。海を訪れる皆さんの安全を守るため、海のコンディションの把握など、事前の準備も念には念を入れて行っています。少しの油断が命の危険につながりますから、その厳しさを徹底的に教わっているようです」。
水辺での事故を防ぐためにトレーニングに励むライフセーバーが、その体力や技術を競い合うのがライフセービングスポーツです。
「機会があれば、ぜひ多くの方に大会を見ていただきたいと思います。そして、海水浴はライフセーバーのいる海で、安全に楽しんでほしいです」。
投稿記事はとことん検証
何事も極めたい性格と語る通り、稲葉さんが投稿するレポートはいつも徹底的に検証を重ねています。
「お弁当で言えば、朝何時にふたを閉めて、何時間後にどんな状態になっているのか、自分用にも作って確認したり、子どもたちの感想も聞いてブラッシュアップしていきます。これまで投稿した中で、最も研究したのが「夏のそうめん弁当」。キンキンに冷やしたスープジャーにゆでた麺と具を入れ、つゆは冷凍して持参するというものですが、麺の種類を変えたり、スープジャーの方につゆを入れてみたりと何度も試し、あの形にたどりつきました」。
もう1つの自信作は「くっつかない焼きそば弁当」です。
「娘には何度このお弁当を持って行かせたことか(笑)。簡単なアイデアですが、紹介した方法で作れば、もうお弁当箱の形に麺が固まってしまうことはありません。ぜひ試してみてください」。
高校卒業記念のお弁当フォトブック
稲葉さんは2018年度の「第3回部活弁当選手権」で最優秀賞に選ばれました。
「それでお弁当作りの楽しさに目覚め、毎朝写真を撮るようになりました。その写真を娘の高校の卒業式に、フォトブックにしてプレゼントしたんです。娘はとても喜んでくれました。食べたもののことなど覚えていないだろうと思っていたのに、『これは肩をケガした日だ』とか『この日はママとケンカしたよね』なんて言っていて。案外覚えているものなんですね」。
娘さんからも思いがけないサプライズが。
「今日の撮影のために、娘からフォトブックを借りてきたのですが、最後のページに私が高校最後のお弁当に添えたメッセージカードが貼ってあったんです。なんだか嬉しくなってしまいました」。
差し入れにも責任を、製菓衛生士の資格取得目指す
現在稲葉さんは仕事の傍ら、製菓衛生士の資格取得に向け、専門学校で学んでいます。
「もともとお菓子作りが好きだったということもありますが、チームに差し入れをするうち、家族以外の人に食べていただくことにも責任を持ちたいという思いが大きくなったこともきっかけのひとつです。資格に「衛生」の文字がつくだけあり、衛生面も徹底的に学びます。今まで我流でやってきたことが理論で裏付けられていくようで、とても楽しく勉強しています」。
以前の投稿「カステラ」にも、新たな発見がありました。
「本来のカステラの作り方は、シンプルながら実はとても手間がかかっています。市販のものは甘みが強いなと思い、砂糖を控えたカステラのレシピを投稿しましたが、膨張剤も使わず、卵の力だけで膨らませたり、日持ちをさせるためにはあの砂糖の量が必要だったのだということがわかりました。これまで知らなかったことを学べるのって本当に楽しいですね」。
食べた人の喜ぶ顔が嬉しい
娘さんは大学生になり、チームスポーツも経験してみたいと中高6年間続けた剣道からラクロスに転向。息子さんは中学入学と同時に、サッカーから剣道へとシフトしました。毎週のように続けてきた差し入れ生活も終了かと思いきや、今度は娘さんからリクエストが入るようになったそう。
「女の子たちは皆、かわいい甘いものが大好き。初めての試合の時には、アスレシピにも投稿した『レンジで作るイチゴ大福』を差し入れしました。差し入れって、食べた人の反応がわかるところが醍醐味。『おいしかった!』『またお願い!』と言ってもらえると、嬉しくてどんどん作りたくなってしまいます」。
現在は、カフェにスイーツ作りのノウハウやアイデアの提供も行っています。息子さんが所属していたサッカーチームのお友だちの関係で、縁がつながりました。
「息子がサッカーをしていた頃のお母さん仲間は、快く私の差し入れを受け入れてくれて、今もこうして関わらせていただけている。本当に温かい皆さんで、この方たちがいなかったら今の私はないと断言できます。将来的には資格を生かしてお菓子を作ったり、学んだ技術を伝えるなど、ニーズに合わせて『おいしい気持ち』をおすそ分けできる活動をしていけたらいいなと思っています」。
稲葉さん考案のレシピも掲載、アスレシピBOOK「アスリートレシピ」
アスレシピでは、スポーツに励むお子さんや家族を食で支える特派員・サポーター考案のレシピをまとめた「成長期の子どものためのアスリートレシピ」を発行しています。
サイトで紹介してきたたくさんのレシピから、今回は主食・お弁当・補食の100品を厳選。稲葉祐紀子さんのレシピも多数掲載されています。各家庭で愛されてきた品々を、皆さまの毎日にもぜひお役立てください。プリントオンデマンド(POD)と電子書籍があります。
<撮影協力>
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