ケガをしやすかった息子に、当たり負けしない体を作ってあげたいと始めた食事改善。スタート当初こそ順調だったものの、そのうち停滞期がやってきました。

食事改善を始める前(小学校低学年の頃)の朝食。今考えると、かなり量が少なかったと思います
食事改善を始める前(小学校低学年の頃)の朝食。今考えると、かなり量が少なかったと思います

運動する分と成長に必要な分を合わせた食事の必要量を、きちんととれるよう見直したはずなのに、体重が思うように増えていきません。なぜ変化がないのだろう? そう思った私は、本やネットで原因を調べました。

たどり着いた答えは、
「子どもの特徴はそれぞれ。教科書通りに進めても上手くいくわけがない」
というものでした。

「体を大きくするには、あれとこれを食べれば良い」ではなく、何が原因で我が子が大きくならないのか、理由を見つける必要がありました。そこで、息子の毎日を良く観察するようにしてみたところ、次のような傾向に気付きました。

1、お腹をこわすことが多い
2、週末、特に日曜日の試合では、スタミナ切れで良いパフォーマンスを出せないことが多い
3、ケガが多い

ところが私は、1については「うちの子、小さい頃からお腹が弱いの。男の子はお腹弱い子、結構多いよね」、2については「うちの子、体力無いんだよね。もっと体力つけて欲しいな」、3については「練習や試合が続くと、皆どこかしらケガしてるよね。ケガとは上手く付き合っていくしかないね」という受け止め方をしていました。全て都合良く解釈して、「仕方のないこと」と片付けてしまっていたのです。

しかし、色々調べていくうちに、食生活が大きく関係している可能性があることがわかってきました。得た知識を我が子に当てはめてみると、なかなか大きくならない原因が見えてきました。

小学5年の時の合宿での昼食。この頃には、おかわりするほど食べるようになりました
小学5年の時の合宿での昼食。この頃には、おかわりするほど食べるようになりました

1については、元々お腹が弱く、朝起き抜けにトイレに行きたがることが多い息子でしたが、決して毎日ではありませんでした。そこで、前日の夕食のメニューや食事の時間に注目してみると、油ものを食べた翌朝はお腹をこわすことが多かったり、夜遅くに食事をとると、消化しきれていないのか、食欲がなかったり、トイレに頻繁に行ったりしていることがわかりました。せっかく栄養をとっても、きちんと消化して体に蓄えることができず、排出されてしまっていたのです。

2については、チームメイトは同じスケジュールでも疲れている様子がないのを見て、もっと体力を付けなくちゃと思っていました。しかし、調べていくうちに、エネルギー源となる糖質が足りていないのではと思うようになりました。人により、疲労のたまりやすさや抜けやすさには差があります。ハードなスケジュールをこなし、結果を出したい週末の試合時には、特に気をつける必要があると感じました。

そして3。小学校低学年の頃はサッカー以外にもスポーツの習い事をしており、昔からケガが絶えませんでした。一番ひどかったのは、両足の膝下を疲労骨折した時です。疲労骨折というのはその名の通り、骨に小さな負荷が繰り返し加わり、疲労が溜まってヒビが入ってしまうこと。年齢や筋力、運動量など色々な原因があるとされています。診断を受けた当時はひたすら休養するように言われ、練習や試合を長期間休み、耐える日々を送っていました。

足を疲労骨折した、小学校低学年の頃
足を疲労骨折した、小学校低学年の頃

しかし、スポーツ栄養を学び始めると、疲労骨折は栄養面に原因があるケースもあること、特にジュニア期には、エネルギー不足による疲労骨折に注意が必要だということがわかりました。この頃には疲労骨折も完治していましたが、改めて栄養の大切さを思い知ることになりました。

小学5年の時の合宿での朝食
小学5年の時の合宿での朝食

骨の長さの発育は、身長の伸びが止まるとともに終わると考えることができますが、ジュニア期におけるエネルギー不足は骨の形成に支障をきたし、低身長や骨密度の低下につながると言われます。ジュニア期はエネルギーが十分であれば、骨が成長して身長が伸びていき、それに伴って骨格筋量が増えると体重が増え、その重さの刺激によって骨密度が増加していきます。しかしエネルギーが不足すれば、身長は十分に伸びず、骨密度は低下し、疲労骨折を引き起こす可能性が高まるという仕組みです。

人の体は、まず疲労や故障した箇所を回復させるために摂取した栄養を使い、その残りが成長に使われると言われています。特にジュニア期のアスリートが体を順調に成長させるには、その子に合った栄養のサポートが欠かせないと痛感しました。

国際大会での1コマ
国際大会での1コマ

その後息子は国際大会も経験。親元を離れ、食文化の異なる国で試合の日々を過ごしましたが、食事を残さず食べるように心がけたおかげで、コンディションを崩すことなくプレーできたようです。

次回は、この後どう対策を取り、現在までどのような経過をたどってきたかをお伝えします。

【アスレシピ特派員=東京都在住・久保田美奈子】