ここまで5回に渡り、息子と私の奮闘記をお伝えしてきました。今まで直面してきたことは全て、ケガを治すためや体を大きくするための「体と栄養の関係性」でした。
今回は、食事のサポートにも慣れてきて、息子のケガも治り、順調かなと思っていた矢先に、メンタルと食事の関係について考えることになったエピソードを紹介します。
サッカーをやめたい…
小学校高学年ともなると、低学年の頃のように「とにかくサッカーが楽しい! 多少怒られたって平気!」というようにはいかなくなってきます。反抗期も相まって、何かにつけて反抗したり、言い訳をするようになりました。
大所帯のチームであればあるほど、チームメイトとのいざこざ、ポジション争い、コーチとの関係、試合の勝敗など、さまざまな問題が起こります。挙げればキリがありませんが、小学生なりにハードな中、頑張っているなぁと思っていました。
そんな中、あることがきっかけで、息子のサッカーに対するやる気が急降下し、チームどころかサッカーを辞めたいとまで言い出す事態になってしまいました。
過去にも何度か、似たようなことは経験していました。しかし今回は、メンタルが落ちた状態が数ヶ月続き、一時は食事も喉を通らないほどでした。それでも練習と試合は普段通りに行っていたので、食事のサポートも欠かせませんでした。
私は、息子に元気になってもらえるなら多少カロリーオーバーになっても良いと考え、息子の好きな肉料理などを用意しましたが、なかなか食事が進みませんでした。
そんな時、息子に「何が食べたい? 何だったら食べられそう?」と聞いてみました。すると息子は「卵のおつゆ」と答えたのです。
それは、私が家族が風邪を引いた時や、冬の寒い時期に作っていた、卵とめんつゆだけで作る簡単な汁物です。
私はそれを聞いて驚きました! 今の息子に必要なのは「卵のおつゆ」だったとは。
それは、私が想像していたよりも息子のメンタルが落ちていたことを意味しますが、大きな発見でもありました。
急いで卵のおつゆを作ると、息子は「おいしい、おいしい」と言ってあっという間に飲み干し、少し笑顔が戻りました。
皿数は少なくとも、必要な栄養素を摂取できるよう、ニラやショウガ、ゴマなども加えるなど修正を重ね、徐々に普段通りの食事がとれるようになり、同時に心も回復していきました。
すると息子は、もちろん食事が全てではありませんが、自分が悪かったところ、修正すべきところを素直に受け止めることができるようになり、一つの大きな山を乗り越えることができました。
食事は、栄養を摂取するためだけのものではなく、心を前向きにする助けもしてくれるんだと学びました。
今食べたいものをとる
⇒心が癒やされると同時に、エネルギーが補給される
⇒体が動き、意欲的になれる
⇒自分のマイナス点にも目がいくようになる
⇒元気になって頑張れる
という構図です。失恋した時にも好きなものをたくさん食べて忘れるとは、良く言ったものですね。
皆さんのお子さんが、本当に落ち込んだときに食べたいお母さんの味、勝負メシではなく「癒やしメシ」は何でしょうか。お子さんがピンチを迎えた時、この記事を思い出してくださると嬉しいです。
【アスレシピ特派員=東京都在住・久保田美奈子】