スポーツの分野でも、食事をコントロールすることで身体作りやコンディション調整を行うことが定着してきました。栄養指導を行う人たちのもつ資格には「栄養士」や「管理栄養士」「公認スポーツ栄養士」など、さまざまなものがあります。どのような違いがあるのか、あらためておさらいします。
「栄養士」「管理栄養士」は国家資格
「栄養士」「管理栄養士」はともに国家資格です。「栄養士」は厚生労働大臣の指定した栄養士の養成施設(大学、短大、専門学校など)で2年以上、栄養士として必要な知識や技能を修得すると、無試験で取得することができます。
一方「管理栄養士」は、養成施設を卒業し「栄養士」となったのち、国家試験に合格することが必要です。管理栄養士の国家試験は毎年1回、3月中旬頃に行われています。
国家試験の受験資格は、管理栄養士の養成施設を卒業した場合は実務経験なしに得られますが、栄養士養成施設を卒業した場合は、栄養士としての実務経験が必要になります。期間は、養成施設の修業年数と合計して5年以上とされています。
より高度な栄養指導が行える「管理栄養士」
「栄養士」と「管理栄養士」では業務内容にも違いがあります。
栄養士法では、栄養士がおもに健康な人に対して指導を行うのに対し、管理栄養士は傷病者など、より高度な専門的知識が必要な栄養指導が行えるとされています。また特別な栄養管理が必要とされる給食管理の現場では、かならず管理栄養士を置かなければならないという設置義務もあります。
平成29年3月に行われた第31回管理栄養士国家試験は、合格率が平均54.6%でした。管理栄養士養成施設の新卒合格者が92.4%だったのに対し、既卒者は18~20%未満と大きく差が開いています。仕事をしながらの資格取得はかなり険しい道と言えそうですが、毎年2万人前後が試験に臨んでいます。
「公認スポーツ栄養士」はスポーツ栄養の専門家
スポーツの現場では、近年「管理栄養士」とともに「公認スポーツ栄養士」という資格を取得し、サポートにあたる人が増えてきました。
「公認スポーツ栄養士」とは公益社団法人日本栄養士会と、公益財団法人日本体育協会の共同認定による民間資格です。取得には管理栄養士であること、さらにスポーツ栄養指導の経験があるか、またはこれからその実務を行っていく予定があることが求められます。管理栄養士の中でも、特にスポーツ栄養の分野に関して幅広い知識とスキルを持った人材の育成を目指しています。
平成28年11月現在で認定者は214人。日本代表といったトップアスリートから、ジュニア層、健康増進を目的としたスポーツ愛好家まで、多様な競技者を栄養教育や食環境の整備などを通じてサポートしています。
上記以外にも「アスリートフードマイスター」や「スポーツフードアドバイザー」「スポーツ栄養スペシャリスト」など、栄養や食に関する資格は数多くあります。通学型や通信型など学び方もさまざま。それぞれの内容を比較して、必要な知識を身につけていくとよいといえそうです。