脂質のほとんどは、構成成分として脂肪酸を含みます。脂肪酸は長い炭化水素鎖をもつカルボン酸、カルボキシ基(−COOH)を持つ有機酸です。炭素数が2~4個のものを短鎖脂肪酸、6~12個のものを中鎖脂肪酸、14個以上のものを長鎖脂肪酸といいます(炭素は2個で1単位として鎖が伸張するため、偶数であることが多い)。
脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。飽和脂肪酸は炭素鎖に二重結合を含みませんが、不飽和脂肪酸は二重結合を含み不安定なため、酸素に触れると酸化します。
体内では、細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸が酸化されると細胞機能が低下します。また、血液中では、酸化された不飽和脂肪酸を含む酸化LDLは、動脈硬化の原因になったり血栓形成を促進したりします。
口から摂る脂質では、飽和脂肪酸は動脈硬化を促進するため、不飽和脂肪酸の摂取が望まれます。摂取する不飽和脂肪酸のほとんどは長鎖脂肪酸で、オリーブ油に多く含まれるオレイン酸、サラダ油に多く含まれるリノール酸、魚類に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがありますが、酸化されやすいため、保存や料理にひと工夫すると良いでしょう。
オレイン酸は二重結合を1個しか含まず、不飽和脂肪酸の中では酸化されにくいため、加熱料理にはオリーブ油を使うといいでしょう。また、不飽和脂肪酸は空気中の酸素に触れるだけでなく、熱や光により酸化が進むため、揚げ油を何回も使い回すのはやめ、サラダ油などはふたをきちんと閉め、冷暗所に保存するようにしましょう。
魚は新鮮なものであれば、お刺身やカルパッチョなど加熱せず、生で食べるのがおすすめです。【管理栄養士・今井久美】
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