ビタミンEは、細胞膜を構成する不飽和脂肪酸などが酸化するのを防ぐ、つまり細胞を守り、動脈硬化を抑制する働きをしています。また、毛細血管の血流を良くする働きもあります。不足すると、溶血性貧血になったり、感覚障害や神経症状などが出たりします。

 ビタミンEには、α、β、γ、δといった4種類のトコフェノールと4種類のトコトリエノールの合計8種類がありますが、人間の体にあるビタミンEの大部分がαトコフェノールです。成分表示にあるビタミンEは、αトコフェノールのことを示しています。

 ビタミンEを多く含む食材は、アーモンドやピーナツなどナッツ類や植物油、アボカド。ほか、ウナギやイワシなどの魚、タラコやイクラなどの魚卵で、野菜ではカボチャ、シソ、大根の葉など緑黄色野菜です。過剰摂取になると出血傾向になりますが、食品からの摂取では今のところ、過剰症はみられていません。

 アスリートは、激しい運動を行ったり、長時間日光に当たったりすることも多いため、抗酸化作用の強いビタミンEを食事から摂りましょう。

 抗酸化作用といえば、ビタミンCにもその作用がありますが、水溶性のため体液中に溶け込んでおり、ビタミンEの細胞膜での抗酸化とは働く場所が異なります。ビタミンEとビタミンCを一緒に摂ると、さらに効果が強まります。野菜を油で炒める、果物をナッツと一緒に食べるといった食べ方は、強い抗酸化作用が期待できます。【管理栄養士・今井久美】

参照:「日本人の食事摂取基準2015年度版」