パントテン酸は、ギリシャ語で「どこにでもある酸」という意味で、肉や魚、野菜やキノコといった動植物性食品に広く含まれている水溶性ビタミンです。

 植物性食品ではひきわり納豆、オートミール、小麦胚芽、ブロッコリー、モロヘイヤ、エノキやシメジ、アボカドなど、動物性食品ではレバー、タラコ、ウナギ、シシャモ、サケ、イワシなどに多く含まれています。糖や脂肪の代謝、特に脂肪の代謝に深く関わっており、乳児は脂肪の必要量が多いため、母乳のパントテン酸含有量は高くなっています。

 欠乏症はまれですが、不足するとエネルギー代謝の異常や障害を起こします。症状としては、成長停止や副腎障害、手足のしびれ、頭痛、疲労、不眠、胃不快感を伴う食欲不振などが起こります。

 また、通常の食品を摂取している人では過剰症は報告されていませんが、他の水溶性ビタミンと一緒に、大量に3カ月間与えた実験では、吐き気、食欲不振、腹部の痛みが見られたため、サプリメントでの大量投与は避けたほうがいいでしょう。むしろ、バランスの良い食事をしている人で不足することはありません。体作りのためにも主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけましょう。

参照:日本人の食事摂取基準2015年度版

【管理栄養士・今井久美】